久保明
新治
ベストセラーになった三島由紀夫の同名の小説から、「君死に給うことなかれ」で台詞を担当した文学者の中村真一郎と「赤線基地」の谷口千吉が共同で脚色し、谷口千吉が監督に当る。撮影は「水着の花嫁」の完倉泰一、音楽は「噂の女」の黛敏郎である。出演者は新進の久保明に「よい婿どの」の青山京子の外、「七人の侍」の三船敏郎、「若き血は燃えて」の大刀川洋一、「その後のウッカリ夫人とチャッカリ夫人」の沢村貞子など。
伊勢海にある歌島は人口千四百、周囲一里に充たない小島である。久保新治は、船に乗って働き、母と弟と三人暮しの家計を助けていた。ある日夕暮の浜で、彼はふと見知らぬ少女を見かけたが、何故かその夜はいつになく寝つきが悪かった。翌日彼が船できいたところによると、この少女初江は頑固で金持の宮田照吉の末娘で、他所にやられていたのが、婿取りをするために呼び戻されたのだという。その後新治は山のなかで、道に迷った初江に再び出会った。それは秘かなそして楽しい出会いだった。だが暫くして、新治は島の名門の息子である川本安夫が初江の入婿になるという噂を耳にした。そして砂浜で初江に会った機会に、彼はこの真偽をたしかめたが、笑って否定する初江だった。新治は我知らずその唇に触れてしまった。斯うしてたまの逢びきをしている間、ある時、砂浜で裸になった二人はそのまま熱情的に抱き合うのであった。初江は新治の嫁になるのだと云い張ったが、それ迄はと最後の一線だけは守っていた。一方、東京の大学に行っている燈台長の娘千代子は、休みで帰省していたが、心を寄せていた新治が初江と一緒にいるところを目撃し、それを安夫に告げてしまった。嫉妬にかられた安夫は、ある夜、初江を襲ったが、偶然とんできた蜂に妨げられて果さなかった。だが照吉は二人の結婚には固く反対していた。やがて新吉と安夫は島の青年達の憧れの的である歌島丸に乗りこみ、訓練を受けることになった。ズボラな安夫に対し、誠実な新治は、暴風雨のために切れたワイヤーを直すために命を賭して怒涛の中に飛びこんだ。船が帰ってきたとき、この働きぶりは照吉にも知れ、二人は遂に晴れて結ばれることになったのである。
新治
母とみ
弟宏
初江
父照吉
千代子
燈台長
奥さん
安夫
猛
十吉
龍二
歌島丸の船長
お春婆
『校長先生』
宗太
勝ちゃん
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