笠智衆
目白三平
ニッポン放送で連続放送された中村武志の原作を、「幸福を配達する娘」の井手俊郎が脚色、「女給」の千葉泰樹が監督する。撮影も「女給」の西川庄衛で、音楽は「愛と死の谷間」の芥川也寸志の担当。出演者は「月は上りぬ」の笠智衆、「おふくろ(1955)」の望月優子、「百面童子」の東千代之介、「坊っちゃん記者」の小林桂樹、「石松と女石松」の堀雄二、「女給」の三笠博子、日野明子、星美智子、「血槍富士」の田代百合子、「姉妹(1955)」の中原ひとみなど。
二十数年国鉄本庁に勤める目白三平は、機関紙の編輯に熱心である。雨洩りするような家に住みながら、奥さんの文子や子供達と共になごやかな家庭を営んでいた。ある晩三平の家に、ビール会社に勤める村上の訪問を受けたが、村上が懇意にしている靴屋の娘敏子に彼を紹介し靴を注文させようとしたので、彼はそれをきき入れて頼みつけの靴屋をやめてそこに変えた。だが出来た靴はダブダブで、もう一度手を加えていると結局高い値についてしまった。三平は毎朝飲みに行くコーヒー店の三姉妹の愛想のよさに、血圧や白髪を忘れるほどの嬉しさを感じていた。又昼休みには八重洲口の名店街を見物するのが習慣だったが、ある時洋服屋のネクタイコンクールに投票したのが一等に当選し、ショウ・ウィンドウに名前が掲げられた。だが折角の賞金も同僚や近所の人々にたかられて、結局気の好い三平の手元には一銭も入らずに終ってしまうのだった。その頃村上の勤めるビール会社主催の舞踊の招待券をもらって、三平は一家揃って出掛けて行ったが、其処では羨ましいほど親しそうな村上と敏子が観覧していた。やがて春も過ぎ暑い気候になったが、文子の希望で貯金していた金で畳を入れかえた。掃除も済んだ後、村上も交えた食卓には二本のビールが並び、乾杯しながら村上は恥ずかしそうに敏子との仲介を頼むのであった。それを素直に受ける三平夫婦の表情も希望に燃えて明るかった。
目白三平
妻文子
長男
次男
村上
佐々木靴店主人
佐々木靴店の娘敏子
ウノキ靴店の主人
ウノキ靴店の細君
マツオカ洋品店主
マツオカ洋品店若主人
マツオカ洋品店女店員A
マツオカ洋品店女店員B
マツオカ洋品店女店員C
同僚中島
同僚A
同僚B
同僚C
同僚D
同僚E
同僚F
係長
課長
給仕
駅員
靴を踏まれる男
ウナギ屋「福島」のおかみ
珈琲店のA子
珈琲店のB子
珈琲店のC子
柴田電機店の店員
細川の奥さん
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