四代目坂田藤十郎
小扇太(実は豊海千代若丸)
林房雄の原作を「水郷哀話 娘船頭さん」の伏見晁と「照る日くもる日(1954)」の志村敏夫が脚色し、志村敏夫が監督に当る。撮影は「旗本やくざ(1955)」の栗林実。出演者は「春色大盗伝」の中村扇雀、「天下を狙う美少年」の大河内傳次郎、杉山昌三九、「右門捕物帖 献上博多人形」の雅章子、扇千景のほかに尾上さくら、新人沖諒太郎など。
桃山時代。九州豊海城主秀麿の子嫡千代若丸は、宗教使節としてローマへ派遣される途中城主の位を狙う叔父金三郎の輩下に海中へ落された。附近を航行中の船に救けられ、名も小扇太と改め三年振りに帰った時には切支丹は禁制となり、商人の上陸も許されなかった。小扇太は夜陰に乗じて上陸、幼馴染博太郎と許婚万里を訪ねて回船問屋泉屋太兵衛の許を尋ねた。そこで彼は秀麿は幽閉され、金三郎が城主の位について虐政を行っていることを聞いたが、早くも泉屋は金三郎一派に包囲されていた。太兵衛のはからいで小扇太と博太郎は辛うじて逃れたが万里は金三郎に捕って了った。暴政の為に期待を裏切られた船長は二人を乗せると直ちに出航したが大暴風雨に襲われ、小扇太は波に呑まれたが世呂島の海賊首領五十嵐源太の娘小波に救われた。留守居頭平九郎は小扇太を源太、副頭目鬼藤太等に讒訴したが、図らずも捕虜の中にいた博太郎の証言によって救われた。取引先である泉屋博太郎から事情を聞き、秀麿とかつて戦友だった源太は豊海城奪還を秘かに決意した。小扇太は彼を愛する小波に心ひかれたが、島を出て豊海へ向った。小波の願で源太、鬼藤太は豊海を攻撃したが守りは堅かった。しかし先に上陸した小扇太と博太郎が城内火薬庫の爆破に成功した為に乱闘の末金三郎を仆した。城下に平和は戻ったが、彼等には住めない土地になって了った。小扇太は自由と平和を求めて海の彼方へ去った。
小扇太(実は豊海千代若丸)
泉屋太兵衛
泉屋博太郎
泉屋万里
五十嵐源太
娘小波
亜矢
鬼藤太
平九郎
新公
一公
豊海金三郎
豊海秀麿
家老高山主膳
宣教師
ポルトガル人の船長
青柴和泉
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