明石潮
天海和尚
前二部作同様連続放送劇を作者自ら脚色し「弥次喜多」三部作の小杉勇が萩原遼に代って監督、「水戸黄門漫遊記 火牛坂の悪鬼」の杉田正二が撮影。出演者は大部分前作と同じであるが前掲の新登場人物の追加並びに前作の薄田研二に代って「愛情会議」の明石潮が、星美智子に代って東映入社第一回の三条美紀が出演。
第三篇・仁王坂の追撃--平家集落の裏山で代官小源太の一隊に襲われた夕霧姫、桐丸の一行は通り掛った吉野の菊水党和田倉十兵衛に助けられ、落し穴の朝霧丸、菊丸、玄海も間道から重囲を脱した。桐丸達は京都に向う。後を追うようにして真名女が持つ黄金を狙う右近左近の兄弟も京に向った。一方山中で朝霧丸が夕霧姫を探している間に菊丸は悪漢八兵衛に見つかり小源太の捕うるところとなった。忍術で菊丸を救った朝霧丸は夕霧姫が京に上った噂をきき直ちに旅立った。家康はこれ等のことを知り真田伊豆守に命じ捕虜の海野六郎を囮につれて京に軍勢を送った。菊丸の母八千代は夫六郎を慕ってその後を追った。京に着いた桐丸は姫を山城工に預け豊家再興を計る為十兵衛を尋ねて吉野に向った。山城工は右近左近の手先となって黄金を盗もうとした志摩六に殺された。真名女は夕霧姫と共に吉野に落ちて行った。一方京に着いた伊豆守の軍勢に捕われの六郎を見つけた朝霧丸は菊丸の為に彼を救おうとするが失敗した。しかし右近左近に襲われた山城工の弟子竹丸を救った。竹丸は夕霧姫の吉野行を告げて死んだ。朝霧丸は菊丸、玄海と女歌舞伎出雲の阿国一行に従って京を出ようとしたが警戒の役人に見つかり乱斗となった。 第四篇(完結篇)・竜巻城の決戦--役人の手から朝霧丸は逃れた。夕霧姫の一行が桐丸のいる吉野の菊水党主大和谷四郎五郎を訪れたことを知った女間者皐月は領主本多伊賀守に知らせた。本多の軍勢は大和谷の屋敷を襲った。桐丸達は逃れた。その折皐月は四郎五郎が落して行った守袋から彼が自分の実父であることを覚った。朝霧丸一行が大和谷の屋敷に着いたのを知ると領主の軍勢はまた襲って来た。一行は青桐党穴山小助等の救援を得て軍勢を撃退した。朝霧丸出現を知り桐丸と四郎五郎は夕霧姫との対面を如意輪堂で行うことを計った。徳川方も之を知り真田伊豆守の大軍が京から押寄せた。八千代も後を追って来た。これらの中に朝霧と夕霧は対面し、菊丸と八千代も再会した。朝霧丸は四郎五郎、菊水党、青桐党を率いて伊賀守の本城竜巻城を攻めた。激戦の最中に玄海は死に、四郎五郎を救わんとした皐月は傷き父の手にいだかれて死んだ。伊賀守は朝霧丸に討たれ六郎と八千代は無事に再会した。竜巻城は朝霧丸の手に入ったが一同は津波の様な徳川の大軍との無謀の戦いを中止し、城を爆砕した後薩摩を指して桐丸、真名女、志津女に送られながら旅立って行った。
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