岡田英次
木原淳平
毎日新聞夕刊に連載の今日出海のユーモア小説を、「狸小路の花嫁」のコンビ舟橋和郎が脚色し、小石栄一が監督した。撮影は「警視庁物語 魔の最終列車」の星島一郎。主な出演者は、「雪崩(1956)」の岡田英次、「警視庁物語 魔の最終列車」の堀雄二、「げんこつ社員」の南原伸二、「白扇 みだれ黒髪」の田代百合子、「竜巻三四郎」の藤里まゆみなど。
大学のレスリング部の若い部長木原淳平はチョップ先生と呼ばれ学生間に人気がある。練習中に信吉に投げられ怪我をした安治を見舞って病院を出ると、そこに安治の父有沢代議士の後添い勝子の妹朝子が立っていた。二人は朝子の親友久子の経営する喫茶店に寄ったが、久子から愛人同士と誤解された。ある日、淳平はダム工事に絡む不正摘発に乗出した弁護士の兄謙助から、現場の紀ノ川に行ってくれと頼まれたが、その淳平の帰宅をアパートで待構えていたのは朝子だった。朝子は右翼ボス大石の秘書横山との縁談を断り、家を出るについて淳平の支えを求めたが、女は苦手と淳平に追い返された。休暇に入り紀ノ川に来た淳平は、有沢と大石が私欲のためダム工事を進めようとしているのを聞き、激しい義憤に燃えた。紀ノ川から帰った淳平は、朝子が家出したと聞き久子の所へ駈けつけたが、久子に朝子への曖昧な愛情を厳しく問われた。そこへ、土建屋のアルバイトをしていた信吉が右翼ボスに追われ飛込んで来た。左翼思想の信吉は仲間に裏切りを疑われたのだった。淳平の空手チョップで一味は追返されたが、自棄気味の信吉に思わぬ愛情を尽すのは久子であった。久子の信吉へのムキ出しの愛情に深く反省した淳平は、伊東海岸の叔父の所に朝子がいると聞いて駈けつけたが、朝子はキャバレー・ゴードンの女給になったと聞かされ、その姿はなかった。一方、ダム工事に世間から疑惑を持たれた有沢と大石は、謙助を買収しようと料亭花蝶に呼出したが果さず、今度は謙助の眼前に袱紗に包んだ拳銃と小切手を出して脅迫に転じた。伝え聞いた淳平は激怒、横山に迫害される朝子をゴードンから救い、花蝶に飛んで空手一閃。大石を倒し危機一髪の兄謙助を救い出した。ほっとする淳平、その胸に朝子が飛び込んで来た。
木原淳平
兄謙助
篠原信吉
有沢安治
父広路
母勝子
赤城朝子
久子
お徳
横山春吉
大石勘平
説泰和尚
本多平吉
本多洋子
美弥子
池田圭子
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