午後8時13分
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午後8時13分

1956年10月31日公開、99分
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盲目の乙女由比子をめぐって、熱血青年譲二との甘くせつない純愛メロドラマ。“平凡”連載、文化放送連続放送劇菊田一夫の原作を「蜘蛛巣城」の小国英雄と「男の魂」の須崎勝弥が共同で脚色、「あさ潮ゆう潮」の佐伯幸三が監督、「母を求める子ら」の高橋通夫が撮影を担当する。主な出演者は「スタジオは大騒ぎ」の根上淳、「月形半平太(1956)」の川上康子、「あこがれの練習船」の北原義郎、三田隆、「愛の海峡」の藤田佳子、高松英郎、その他水戸光子、加東大介、三島雅夫、藤原釜足、柳永二郎、見明凡太朗など。色彩は日本最初のアグファ方式による大映カラー。

ストーリー

盲目の乙女成沢由比子は淡路島から開眼手術のため神戸に来た矢先、有金全部をスられてしまう。霧の桟橋に死を思いつつ佇む彼女は、ショバ荒しと間違えられ、夜の女に制裁を受ける。彼女を救ったのは、神戸一帯に根を張る密輸団ボス張三元の輩下、譲二だった。彼は、寄る辺もない彼女を自分のアパートに伴い、由比子は彼の好意に、強く生きると心に誓う。アパートの矢田部老人や管理人の加藤も彼女をいたわってくれた。譲二は、かつて由比子と同じ運命を辿って不幸な一生を終えた妹の身を考え、彼女の開眼手術に力を貸そうと決心。張は最近、警察の手廻りが早いことから裏切者と譲二を狙っていたが、彼を秘かに愛する張の情婦満枝は、蔭で譲二をかばう。診断は開眼可能、喜ぶ由比子に譲二は仄かな好意を感じだす。手術の日、二人は思い出の桟橋で抱擁を交すが、譲二はのっぴきならぬ仕事で手術に立会えない。二人は互いの時計を取り交し、開眼の時刻午後8時13分に互いの成功を祈ることにする。その夜、明石海峡で仕事を終えた一味に警官の急襲。その中に矢田部老人、実は矢田部刑事を発見した譲二は、彼をかばおうとして裏切者と、一味の乱射で海中に転落。開眼した由比子は譲二の失踪で悲嘆にくれ、親友邦子を頼って東京に上京、丸宝デパートで働く身となる。だが、譲二についての矢田部からの連絡を唯一の楽しみに生きる彼女は、いつか支店長雄二の眼に留り結婚を申込まれる。一方譲二は夜釣の老人に救われ、更生を誓って共に上京。老人こそは雄二の父兵蔵の隠居姿だった。丸宝デパートの夜警として働く譲二はある日、雄二と楽しげに語らう由比子の姿に驚き、そっと裏口から出た途端、かねて彼の生存をかぎつけて張り込んでいた張一味のため、芝浦海岸倉庫に連れ去られ、リンチを受ける。彼を救ったのは満枝。一緒に逃亡を迫るが、由比子の面影を抱く彼は承知しない。満枝は、そこに現われた子分ミミズクの安から彼をかばおうとして相打ちに倒れる。矢田部から譲二の正体を聞いた由比子は神戸拘置所へ彼を訪ねるが、謙二は他の未決囚に彼は死んだと言わせ、諦めさせようと計る。由比子は遂に形身の腕時計を思い出の桟橋から捨て、雄二と挙式。だが式場から戻る二人の前に、又もや張一味に誘拐された譲二が自動車からとび出す。懊悩する由比子は、総てを知って病院から失踪した譲二を追い港へ。折しも出航する別府行の××丸。デッキにもたれる譲二は突堤上の由比子と呼び交しつつ、次第に遠ざかって行った。

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作品データ

製作年
1956年
製作国
日本
配給
大映
初公開日
1956年10月31日
上映時間
99分
製作会社
大映東京


[c]キネマ旬報社