佐分利信
山本五十六
“人間山本元帥を通じて民族への正しい認識と誇りを持たしめたい”という意図のもとに製作される戦記物。脚本は「隣の嫁」の館岡謙之助、監督は「新妻鏡」の志村敏夫、撮影は同じく山中晋。主な出演者は「婚約三羽烏」の佐分利信、「新・己が罪」の高田稔、中山昭二、相馬千恵子、「勝鬨天魔峠」の明智十三郎、阿部九洲男、「怪異宇都宮釣天井」の小笠原竜三郎、杉山弘太郎、江川宇禮雄、「鉄血の魂」の田崎潤、「君ひとすじに (完結篇)」の宇津井健、「新妻鏡」の高島忠夫、沼田曜一、前田通子、「へそくり社員とワンマン社長 ワンマン社長純情す」の舟橋元、「勤王? 佐幕? 女人曼陀羅 (二部作)」の若山富三郎、藤田進、「ある夜ふたたび」の北原隆、その他竜崎一郎、林寛など。
昭和六年、日本は三国軍縮条約で噸数制限を受けた。当時第一航空戦隊司令官の任にあった山本五十六海軍少将は、その代償と日夜猛訓練に励むが、部下への恩情はあく迄も細やか。やがて上海事変勃発、五・一五事件からヒトラー擡頭、日本国聨脱退と風雲急を告げる中、第二次軍縮会議のロンドン予備交渉。山本は親友の軍務局長、堀内少将の推挙で全権として出発。だが事は不調に終り久方ぶり故郷越後長岡へ戻った山本の許に、百姓娘千代が弟の四郎を海軍兵学校へと連れて来る。山本は快諾。その頃、来訪した堀内と語る中、海戦に航空力が不可欠なことを痛感した山本は、その年の暮、航空本部長となる。この頃独伊の行動は活発化、そして二・二六事件。海軍次官山本は米内海相共々難局に当り、右翼の東亜会壮士に殴り込みを掛けられたりして、夫人や長男義正、長女澄子を心配させる。が家庭では良き夫であり父親の山本。昭和十二年七月盧溝橋より日華事変拡大、ヒトラーのポーランド侵入で第二次世界大戦の幕は上る。山本は連合艦隊司令長官に就任し、米内大将も首相を拝命。山本の反対も及ばず、日独伊三国軍事同盟が調印。日米開戦を予想し、山本は草刈参謀長や岡田先任参謀らと真珠湾攻撃計画を練る。機動部隊司令八雲中将は計画実施に全力を注入、山本も海兵を卒業し士官候補生となった四郎らを激励する。当時、近衛首相と会見した山本は、日米交渉決裂にも、あく迄余地を残すようにと熱願。しかし程なく東条内閣が成立し、日本の運命を決する日は近づく。昭和十六年十一月十六日遂に作戦命令発せられ、山本は真珠湾攻撃部隊に伝達するが、交渉妥結の際は直ちに引返せと厳命。深夜の海に大機動部隊は出動、やがて東北太平洋上、八雲司令官の手に“ニイタカヤマノボレ”の電文が渡る。真珠湾攻撃は大成功。だが群集の歓呼にも山本長官は冷静である。マレー沖海戦など相次ぐ勝報に彼は早期講和実現を願うが、総ては水の泡。その頃、B29東京初空襲。敵の反撃に山本長官は、ミッドウェー沖で決戦を挑むが結果は惨めな敗北。続く悲報に山本は、陣頭指揮による航空決戦を決意し、空路ラバウルに赴く。だが東条内閣の無能ぶりに山本は暗然、四郎も敵輸送船団突入で散る。その後、ブーゲンビルの基地へ向け、僅かな護衛機を伴い出発した山本機は、目的地直前、P38の待伏せで敢なく撃墜された。
山本五十六
米内大将
近衛首相
堀内少将
大島海相
宇田参謀長
岡田先任参謀
三島航空参謀
内海水雷参謀
渡辺作戦参謀
小島通信参謀
藤田少佐
特殊潜航艇乗組員湯浅中尉
特殊潜航艇乗組員松葉中尉
松井副官
八雲中将
草刈参謀長
通信参謀
整備参謀
作戦参謀
吉村大佐
河合四郎
山本夫人
河合千代
万竜
小田米子
黒川
大石
[c]キネマ旬報社