柳家金語楼
竹野井壮介
松竹新喜劇で公演の館直志原作“京の雲・大阪の水”の映画化、人情喜劇。脚色は「弥次喜多道中」の民門敏雄、監督は「イカサマ紳士録」の田尻繁、撮影は「極楽島物語」の岡崎宏三の担当。主な出演者は、「てんてん娘・二部作」の柳家金語楼、扇千景、清川虹子、漫才コンビの中田ダイマル、中田ラケット、そのほか万代峰子、宝塚の小原新二、汐風享子、環三千世、夏亜矢子、小城しのぶ、藤原久美子など。
竹野井製薬社長、竹野井壮介は、高校卒より先代社長の望みで養子に来て以来、女房以外の交渉皆無。よって六十三歳の年歯ながら恋愛年齢の幼さで、目下猛恋愛中。相手は京都で見染めた舞妓のまり子。今日も月下氷人役の芸者千弥の電話に、沢田常務の仕事話や義妹八重子の訪問も全く上の空。苦心の末、湯の街有馬へアベックと酒落こみ、人生の楽しさを満喫するが、まり子の叔母、千弥、それに沢田と三人に、本妻熱海静養の後へまり子を住ませようと一相談持ちかける。沢田のいさめにも、壮介は男性強壮剤発売元の社長こそすべからく壮健さが第一と理屈をこね、加えて純真な愛情を告白。沢田もすっかり社長びいきと相なる。ところがまり子は、かつて平城高校の投手として鳴らした小峰と相思の仲。小峰は彼女が金持の旦那にヒカされたと知り自殺まで考え想い出の有馬へ来ていた。これを知ったまり子は一目逢わしてと千弥にせがむ。さていよいよ二人きりといさむ壮介に、折悪く神戸の水上重役より重要契約のためおいで乞うとの電話。帰りには車のエンコでヘ卜ヘ卜になって戻るが沢田のいさめも馬の耳に念仏。だが小峰に宛てた証拠の手紙まで見せられては、自分のウヌボレぶりをさっぱりあきらめ、若い二人の恋を祝福してやる。喜ぶ二人の傍らで、明日一緒に熱海へ行こうと壮介は奥方に電話していた。
竹野井壮介
沢田常務
間島達造
芸者千弥
壮介の妹八重子
壮介の愛人まり子
壮介の伯母おせつ
女中お清
運転手松村
小峰忠夫
友人加賀
友人川口
八重子の娘A
八重子の娘B
八重子の娘C
八重子の娘D
[c]キネマ旬報社