小畠絹子
皆川先生
貧しさの為に学校を休む子と、教師との間の交情を描き、心やさしいニコヨン老人の義捐がどれ程度子供たちを励ましたかを物語る愛情篇。「愛の砂丘」「君に捧げし命なりせば」等を発表した新映プロが児童映画第一回作品として製作。脚本は児童作家わだよしおみに、「えんぴつ泥棒」の中川順夫が協力し、同じく中川順夫が監督する。撮影は上原雄二。主な出演者は「えんぴつ泥棒」の新人、木崎伸子のほか劇団こまどりの少年少女に、水原久美子、丹波一郎、森肇、坪井研二など。
埃にまみれた工場街の片隅で「一番星みーつけた」と無邪気に遊ぶ子供たち。しかし学校で出席をとる皆川先生の出欠表には今日も欠の印が多い。生徒の家が貧しくて登校できないのだ。加藤光一には父がなく母はニコヨン、小さな妹のお守で学校へ行けぬ。今井高男は父のサンドイッチマン姿を友達に笑われてから学校がいやになった。阿部鈴枝が休んだのは写生にいる画板がない為だ。今日もお守をする光一を同じニコヨン仲間の亀吉爺さんが同情する。皆川先生は貧しい家庭を廻って努力を続けた。ある日、学校へ先生あての手紙がきて、“貧しい子供たちのために使って下さい”と千円札が同封されてあった。差出人の名は一星--いちばん星--とあった。先生は校長と相談し、光一の妹を託児所に預けることにし、光一は翌日から大喜びで登校した。贈り物は次の月も七日になると郵便受けに入っていた。そのお金で雨の日に傘がなくて登校できない生徒のために傘を買った。回が重なるにつれ、皆は感謝の気持を伝えようと一星さんを探し始めた。そして七夕祭の夜、一星さんの正体が判っておどろいた。亀吉爺さんだったのだ。爺さんは孫の波江が風邪で死んでから、お墓をたてるためにお金を貯めてきたが、自分が死んだら誰も拝みに行ってやるもののいない墓を造るよりは、と貧しい子供達のために使ってもらおうと決心したのだった。一星さんの美談がしれて沢山の匿名の寄附が集ったある日、光一はじめ全員がバスにのって海へ水泳の練習に出かけた。バスの中ではしゃぐ子供たちの心は明るい空と同じように晴れわたっていた。
皆川先生
亀吉爺さん
加藤光一
母みつ
妹千代子
今井高男
父源次
母たか
校長先生
米さん
現場監督
用務員
教頭先生
紙芝居屋
一星さん
町工場の男
町工場の娘
田口君
阿部君
鈴枝ちゃん
岸さん
宮下さん
芳子ちゃん
波江ちゃん
[c]キネマ旬報社