小林桂樹
斎藤隆太郎
田宮虎彦の原作を「青い花の流れ」の沢村勉が脚色、「サラリーマン出世太閤記」の筧正典が監督、同じく小泉一が撮影した。主演は「サラリーマン出世太閤記」の小林桂樹、「生きている小平次」の八千草薫、「雪国(1957)」の久保明。ほかに岸輝子、佐原健二、藤波洸子など。東宝ダイヤモンド・シリーズ。全国公開は1957年9月8日より。
杉山建築事務所の設計課に勤める斎藤隆太郎と吉崎綾子は恋人同士である。隆太郎は外地で父母を亡くし一緒に引揚げて来た弟と間借り生活をし、綾子も母と二人の、ともに貧しい暮しであった。隆太郎は綾子との結婚を真剣に考えていたが、杉山事務所での職場結婚は女が辞めねばならぬ規則があり、結婚して母子二人の生活をみるのは彼にとって不可能であった。弟の泰助は来年に大学受験をひかえ、兄に相談したがそのことで、隆太郎は自分の結婚をまた四年延ばさねばならぬことを考えると、喜んで同意するわけにはいかなかった。泰助は進学のためにアルバイトを、叔父のところに頼みに行ったが、そこでも兄の結婚のために断念するように意見された。隆太郎も弟の受験を止めさせてまで結婚するか、自分の出来なかったことを、代りに弟にやらせようかと、綾子のすすめる背広の新調もやめて、彼女のところに相談しに行った。綾子は「四年待てばいいの」といって泰助の受験に賛成する。隆太郎は彼女のひたむきな愛情にこたえるため、相模湖へ婚約の記念旅行をすることにする。旅行から帰って隆太郎は泰助に「大学に行ってもいいよ」と言う。泰助は兄が結婚をギセイにしたことを済まなく思って、アルバイトをしながら夜間大学に行くことを決心する。泰助は隆太郎に就職祝に背広を新調してやるといわれ、胸をつまらせ「兄さんこそ」というが、その隆太郎には翌日、綾子が亡き父の背広を持って来た。明るい陽ざしが隆太郎の部屋一杯さしこんでいた。
斎藤隆太郎
弟泰助
叔父保昌
叔母かね
父隆信
母ミツ
吉崎綾子
母常子
森山しげ
息子邦夫
娘君枝
池田鶴吉
妻のぶ
のぶの子供
紺野加代
寺尾
三浦
及川先生
監督
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
製作担当者
スチール
脚色
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