伊藤雄之助
村田鉄次
きだみのるの『気違い部落周遊記』『気違い部落紳士録』『霧の部落』『奥様騒動記』『日本文化の根底に潜むもの』など、一連の“気違い部落”ものを原作に、「「元祿忠臣蔵・大石最後の一日」より 琴の爪」より 琴の爪」の共同脚色者の一人、菊島隆三が書いたシナリオを「正義派」の渋谷実が監督した社会喜劇。撮影は「土砂降り」の長岡博之。主演は「鳴門秘帖(1957)」の淡島千景、伊藤雄之助、「肌色の月」の石浜朗、新人水野久美、「伝七捕物帖 銀蛇呪文」の伴淳三郎。解説者として森繁久弥が登場する。
東京からわずか十三里半の所に“気違い部落”がある。といっても気違いが住んでいるわけではない。貧乏な中で色と慾をむき出しにした農民生活が“気違い沙汰”にみえるので人々はこう呼んでいる。機屋の因業親爺良介、高利貸又一、この二人の親方を中心に十四世帯の集落は統一されている。親方の権力は絶対で、集落の掟は国の法律より優先することさえあった。ある日、頑固者の鉄次は、昔祖父が集落に寄付した神社の境内がまだ登記されていないのを知って、自分の土地だと縄張りをして耕しはじめた。親分連は鉄次の暴挙に腹を立てたが、彼は平気だった。良介一家は鉄次とのつきあいを断った。何んでも屋の三造夫婦も、酒好きの仁太、自転車屋の助夫、鉄次の伯父甚助までもこれに加わった。結局鉄次の家は村八分にされてしまった。これに一番困ったのは鉄次の娘お光だった。彼女は自家の敵良介の息子で東京へ出稼ぎに行っている次郎と恋仲であった。駐在さんの骨折りも一切無駄だった。お光は肺病になり、集落に帰って来た次郎に頼まれた駐在はストマイを安く買ってやった。お光は一時はよくなったが、冬を迎えてポックリ死んでしまった。鉄次が薬代のもとを取ろうとして、残りをヤミ売りしてしまったからだ。誰ひとり弔う者もない寂しい葬式の翌日、家出して東京に発つ次郎はいい働き口があると鉄次を誘った。次郎は「こんな村にいたって、百姓は雑木と同じだ。狭い土地に根を下し、木材と養分の取りっこをしたとて何になる、先祖のして来たことの繰返しでねえか」と、しかし鉄次は「ここを捨てたとて、日本中どこでもおなじだんべ」といったのである。
村田鉄次
村田お秋
村田お光
村田保
野村良介
野村太一
野村次郎
野村お三重
木崎三造
川端又一
木崎お紺
木崎三吉
大倉仁太郎
大倉おらく
大倉お千代
青木助夫
青木お芳
土屋儀太郎
土屋さだ
儀太郎の老父
甚助伯父
甚助伯父の孫娘キミ
駐在酒盛
お秋の兄伊作
伊作の女房つる
保険の女外交員
下の部落の炭屋
下の部落の床屋
下の部落の饅頭屋
現場監督風の男
お千代の愛人兼田
青年タケさん
解説者X氏
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