森繁久彌
岡見久吉(自動車内張屋)
坂口安吾の原作を「太夫さんより 女体は哀しく」の八住利雄が脚色し、「夕凪」の豊田四郎が監督した諷刺喜劇。撮影は「夕凪」の安本淳が担当した。主演は「猫と庄造と二人のをんな」の森繁久彌、伴淳三郎、淡島千景、「続サラリーマン出世太閤記」の小林桂樹。ほかに、望月優子、野添ひとみ、乙羽信子、有島一郎、左卜全などが出演する。
東京の新開地にある「幌・内張株式会社」は自動車・オート三輪の幌を取替える店。この会社、小企業のサンプルみたいな小規模な組織で、使用人は小僧一人だが、重役諸公一家総出の働きで目下労働力に不足はない。ここの久吉社長の最大の悩みは“税金”である。昨年、久吉が病気でこの会社が全くの赤字であったにもかかわらず、不当な税金を容赦なく押しつけられたというので大憤慨。ヘソ曲りと自他共に許す久吉は、断固これをハネつけた。ところが久吉が憂さばらしに競輪場に出かけている留守に、税務署の役人が乗りこみ、商売道具をはじめ家具一切にペッタリと差押えの札を貼りつけてしまった。久吉の妻君はつ枝は、寿司屋をしている妹のお仙に、税吏の松井が気があるのに目をつけ、お仙をそそのかし色仕掛で税法のウラを嗅ぎ出させようと企んだ。しかし騙されたと知った松井が、怒りに慄えながら税吏の苦しさを語るのを見て、お仙はかえって彼に何か惹かれるものを感じるようだった。さて税吏来訪当日。久吉はあらかじめ用意していたノートを開きながら喋りまくるが、課長の堀部や松井のもの慣れた調子に圧倒されがちである。久吉の云い方は、昨年度会社は赤字だから税金を払う必要はない、というのだ。税務署側は、それなら異議申立てを税法通り申告しろという。この闘税問答は未解決のまま終り、遂に差押えのトラックがやって来るという事態にたち至った。だがその中に松井の姿は見えない。夜間大学生だった彼は税務署を止め、結婚するという。今度はお仙の方がホれこんでしまったらしい。荷物がすっかり運び去られた久吉の店は、さすがに寂しい。しかし、久吉も差押えによって納税の義務は果したわけである。苦しくとも彼は、再び明日から家族重役社員を率いて敢然と働くことであろう。
岡見久吉(自動車内張屋)
はつ枝(岡見久吉の妻)
康夫(岡見久吉の息子)
絹子(岡見久吉の娘)
友川お仙(鮨仙の女主人はつ枝の妹)
山本直助(古綿打直し屋)
お玉(山本直助の妻はつ枝お仙の妹)
伸一(山本直助の子小学六年生)
松井圭吉(税吏)
丸子太平(印形店主)
係長・谷山
小女・お花
小僧・仁吉
ブローカー・秋山
町の人A
町の人B
外山(金貸し元閣下)
受付の老人
若い係
主任
課長
部長
総務課長堀部
税務署員A
税務署員B
予想屋
そば屋
監督
原作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
監督補
製作主任
スチール
脚色
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