市川右太衛門
松平鶴太郎
週刊東京連載山手樹一郎「江戸群盗記」の映画化。脚色は「忍術水滸伝 稲妻小天狗」の結束信二、監督は「どたんば」の内田吐夢、撮影担当は「旗本退屈男 謎の蛇姫屋敷」の伊藤武夫。主演は「任侠東海道」の市川右太衛門、「神変麝香猫」の千原しのぶ、大川恵子。ほかに大河内傳次郎、進藤英太郎、山形勲など。
将軍家斉の治下の江戸に葵の紋服を着て自ら将軍家御落胤葵太郎と名乗る怪盗が出没し、幕府の権臣と結んで私利私慾にふける御用商人の財宝をかすめとっていた。南町奉行鳥居甲斐守は三千石の旗本松平鶴太郎に疑いの目を向けた。何故なら彼は御落胤の一人であり、葵太郎と瓜二つだったからだ。鶴太郎はスリの少年仙太と浅草の曲芸師つばめとフトした機会に知り合ったのをしおに、独自の立場から葵太郎探索に乗り出した。そこに蔵前の札差し飯田銀兵衛が浮び出てきた。銀兵衛は金を用立てている母里信濃守の息女雪姫を手ごめにしかけたが、鶴太郎が現れ、彼女を救った。その時葵太郎が出現し、十万両と引きかえに、鶴太郎から雪姫を奪うことをうけおった。約束の日、葵太郎は雪姫奪取には鶴太郎からさえぎられて失敗したが、十万両はまんまとせしめた。甲斐守は銀兵衛と結んで私腹を肥していた。葵太郎は銀兵衛を改めて襲うと通告した。甲斐守は鶴太郎を、その母松野と共に葵太郎として捕えた。松野はもと旗本新城左馬之介の妻で、一子美代太郎が生れて後、先代将軍の妾にされた。左馬之介は公儀を恨んで切腹、美代太郎は行方不明となった。松野は将軍の子鶴太郎を生んだ後、宿に下った。この美代太郎が成人した姿が復讐の鬼と化した葵太郎だった。松野から委細を聞き、鶴太郎は兄のため処刑を受けようと思ったのだ。彼を護送する鳥居らと銀兵衛の前に、葵太郎が現れた。彼は銀兵衛に雪姫を渡すためにだけ来たのだが鶴太郎母子の彼への呼び声を聞くと、人の子の心がよみがえり、たちまち銀兵衛を斬り、雪姫を鶴太郎に手渡すと、母を連れて消えたのだ。彼は執念も何も消えた日本の地を去り、南海を目指して船出して行ったという。
松平鶴太郎
松野
雪姫
大倉主馬
藤代
玉川つばめ
仙太
飯田屋銀兵衛
徳川家斉
水野越前守
鳥居甲斐守
塩沢播磨
吉村嘉右衛門
渋川藤蔵
代地の勘助
影山徳次郎
吉田源次郎
神南五郎太
大崎弥五郎
下田屋甚九郎
中沢亀五郎
宗吉
忠助
権三
老中
飯田屋番頭
腰元
[c]キネマ旬報社