徳川夢声
十返舎一九
十返舎一九の『東海道中膝栗毛』の吉原仲の町から駿府までを、「続社長三代記」の笠原良三が脚色、「続々大番 (怒涛篇)」の千葉泰樹が監督、「お父さんはお人好し」の西垣六郎が撮影した滑稽篇。「続社長三代記」の加東大介と小林桂樹が弥次喜多に扮し、宝田明、雪村いづみ、乙羽信子、淡路恵子などが出演。助演陣は三木のり平、有島一郎、柳家金語楼、山茶花究、八波むと志、大泉滉、中田康子など。また池部良、三船敏郎、宮城まり子、草笛光子、水谷良重、徳川夢声らも賛助出演する。色彩はイーストマンカラー。
弥次郎兵衛と喜多八は、一九先生より頂戴の大判二十両を懐に、小説の材料となって京へのぼることになった。ところが、二人の後を美男子の飴屋がやはり東海道を京へのぼって行く。歌をうたって街道の人気をさらってしまうので、二人は誠に面白くない。この飴屋じつは幕府の隠密で宝井秋之助といい、何者かに連れ去られた金座職人十兵衛の行方を探しているのだった。彼は十兵衛の娘お雪と共に出発したのだが、お雪ともはぐれてしまっていた。さて、弥次郎兵衛と喜多八は小田原の宿で五右衛門風呂の底を踏み抜いたり、女スリお笛の流し目によろめいて虎の子の小判を取られたりする失敗を、しでかしていた--。やがて二人は、峠越えの気味の悪い森に差しかかった。ここは狐が出るという噂のあるところ。一天にわかにかきくもり雷鳴が轟いた。と、森の中に歌声が響いて一人の巡礼娘が近づいて来た。お雪だった。両人より狐と間違えられたお雪は、拝殿の中に逃げこみ跡かたもなく消えてしまった。わが目を疑った両人--しかしこれが端緒で秋之助の乗りこみとなり、偽造小判の本拠、天下をうかがう謀叛人丸橋正忠斎以下を捕えた。二人はお上より両手にあまる褒美の数々をいただき、その上秋之助に劣らぬもてかた。と、そこへこのたびの事件を聞き江戸から駈けつけた二人の女房連。辛くもその手を逃れた弥次郎兵衛に喜多八は、またとぼとぼと駿河路を京へのぼって行った。
十返舎一九
栃面屋弥次郎兵衛
喜多利屋喜多八
おふつ
おいも
宝井秋之助
お雪
お雪の父十兵衛
花水多羅四郎
有馬一郎左衛門
新次
田谷敏之進
田谷良之助
お笛
附ヶ馬の若い衆喜助
鬼山玄蕃
丸橋正忠斎
呼び込み権太
馬子の長太
おまり
およし
およしの父与作
お康
番頭与九八
宿の亭主
宿の番頭
茶店の亭主
人足A
人足B
百姓A
百姓B
若い夫
若い妻
女中A
女中B
船頭