美空ひばり
おこん
東北の伝説に取材した北条秀司の戯曲の映画化で、雪山に住む娘狐と木樵の若者の恋を幻想的に描こうという音楽時代劇。脚色は「花笠若衆」の中田竜雄、監督は「女ざむらい只今参上」の渡辺邦男、撮影は渡辺孝。「女ざむらい只今参上」の美空ひばりが二役を演ずるほか、三浦光子・星美智子・堺駿二、それに西川鯉次郎が映画初出演。色彩は東映カラー。
山また山。このあたりは狐たちの天国だった。おこん狐は無類の歌上手。今日もおこんたちが唄い踊っていると、銀太郎狐が息せききってやってきた。おこんの弟狐、良助が村の庄屋に捕ったという。さっそく、おこんは庄屋の家へかけつけると、江戸の板前に化けたのだ。ちょうど狐の料理法に困っていた庄屋たちをまんまとだまして、おこんは弟を助けだした。庄屋たちが追ってきたが、そこはおこん狐、案山子になったり馬子に化けたり、みごと追手の目をくらました。おこんがホッと一息ついたとき、彼女は木樵の斧吉の掘った落し穴に落ちこんでしまった。さすがのおこんも泣きだしたが、斧吉は彼女を穴から出すと、歌と踊りをやらせただけで逃してやった。おこんはそれからというもの一人山にいる斧吉の世話をやいてやった。いつか慕情が芽生えた。しかし、斧吉には村に好き合ったお菊という娘がいた。おこんは不思議に彼女に似ていたが……。お菊は悪代官に見染められ、たまった年貢米の代りに無理やり女中奉公に上げられた。庄屋は代官の機嫌をとるため斧吉の山を差し押えた。怒った斧吉を寄ってたかってしばり上げたが、おこんが助けにきた。彼女は得意のドロンドロンで悪代官や庄屋たちをこらしめる。おこんはますます斧吉を慕うようになる。しかし、狐と人間では……。お菊は代官の奥方のやさしい計らいで奉公をとかれ、いよいよ斧吉と祝言を挙げることにきまった。おこんの気は転倒し、友達のすすめに乗って、お菊に化け一足先に輿入れた。その夜お祝宴のとき、おこんはたまらず総てを斧吉に打ち明け、姿を消した。お菊の行列が段々近づいてきたが、代官たちが襲いかかった。おこんはこっぴどく代官をこらしめた。むろん化かしの一手で、お菊は無事、斧吉に抱かれた。おこんは泣きながら斧吉の小屋の灯を眺めつづけた。
おこん
斧吉
代官
奥方様
庄屋
おたま
おとき
銀太郎
良助
おさん
赤木
黒田
権造
六太郎
甚作
杢兵衛
馬を盗まれる馬子
虚無僧秋水
天狗
親類の女
娘狐A
娘狐B