杉浦直樹
中村安夫
「花は嘆かず(1958)」の椎名利夫の脚本を、同じく「花は嘆かず(1958)」の穂積利昌が監督した青春喜劇。撮影も「花は嘆かず(1958)」の西川亨。音楽は「水戸黄門漫遊記(1958 福田晴一)」の万城目正。「春を待つ人々」の桑野みゆき、「悪女の季節」の杉浦直樹に、瞳麗子・小坂一也、それにおとぼけグループ、金田選手らも出演。
中村安夫は関東大学の剛球投手だ。卒業も近いから、プロ球団が盛んに誘いに来る。母親と姉夫婦はその契約金をめぐって対立していた。安夫の下級生・司令子は薬局の一人娘だ。彼女は彼が見世物のプロに入るよりも、平凡なサラリーマンになってもらいたいのだ。安夫の下宿のおばさんの姪、和子は理髪店に勤めている。安夫の面倒を何かとみたがる。現実派の和子はプロ入りをすすめるのである。安夫は卒業論文に苦しんだ。応援団長の春日や、田宮・中西・豊田らもこればかりはどうしようもない。--令子の店の実直な店員・松吉は独学だが、相当な学力があるのだ。令子たちグループが試験のカンニングに、松吉のホン訳を使い、たちまちばれたときなぞ、池田助教授がそれを激賞したほどである。令子は安夫を救うため、松吉に卒論を代作させ、無断で学校へ提出してしまった。即刻、バレて安夫が呼びつけられた。スポーツ紙が卒論不正事件と騒ぎたてた。令子の行為が安夫にかえって仇となった。安夫は自分から野球部除名処分を願い出て信州の家実へ帰ってしまった。令子に縁談が起り、婚約したと聞いたのも原因だろう。縁談の相手は同級の中西である。経営不振の令子の店を、大阪の取引先の製薬会社が救った。中西はその社長の息子なのだ。松吉がそれを和子に話し、安夫に伝わったのだ。令子は親のいいなりになるつもりはなかったのだが。松吉は令子のために信州へ行き、安夫の誤解を解こうとした。が、すでに安夫は退学届を出し、プロ野球と契約していた。安夫は向学心に燃える松吉に学費を出すことを約した。更に令子の店に一千万円の小切手を贈った。安夫は下宿のあとに松吉を世話し大阪のキャンプに参加した。中西は自分から婚約を解消し、またもとの友達になるといった。令子は小切手を返しに大阪へ飛んだ。二人は和解した。
中村安夫
司令子(大学一年生)
藤村和子
弟一郎
田宮(大学一年生応援団員)
中西(大学一年生応援団員)
豊田(大学一年生応援団員)
長島(大学一年生演劇研究員)
金田(野球部先輩)
高井松吉(店員)
中村かなえ(安夫の母)
水原久美(安夫の姉)
夫元
司泰三(令子の父)
妻よしの
藤西玉枝(和子の叔母)
中西信介(中西の父)
春日(応援団長)
池田助教授
沢村主任教授
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