森繁久彌
牧田庄太郎
正月封切の「社長太平記」の続篇で、「大学のお姐ちゃん」の笠原良三の脚本を、松林宗恵に変って「サザエさんの結婚」の青柳信雄が監督した。撮影は「弥次喜多道中双六」の西垣六郎。
支社開店のため西下した牧田社長を迎えて錨商事の九州支社は大森支社長、朝比奈営業部長、はじめ一同大はりきりである。しかし早速開かれたその夜の地元商工会議所の白坪理事はじめ地元業者を招待した宴会は、大森支社長のひょんな親切心が白坪理事を大立腹させるに至り大失敗を喫した。もともと商売仇・さくら商会の地盤たる当地でのこの失敗はショックであった。早々に帰京する牧田社長は駅で同じく福岡に支店を開きに来たバー熊ン蜂のマダムくま子に会い意気投合した。一方商売の交渉で市役所に白坪理事を訪れた大森は昨夜のことからあっさり断られ、くさっているとかつて失恋した娘に瓜二つの芸者麻理子と会い心をひかれる。一方朝比奈は商売上交際していた福岡の著名なデザイナー麻布洋子と互いに心を近づけ、洋子は錨商事の嘱託になる。東京に帰ると岩子会長から九州支社の成績不振でしぼられ、思いあまった牧田社長はグラマー戦術を思い立ち、自らモデルをひきつれて福岡に乗り込む。洋子の司会で下着ショウは大々的に催されたが、商売仇さくら商会の温泉招待で業者は一人も現れないと云う不首尾に終った。その夜社長が急病と云うのでかけつけた大森と朝比奈は社長の枕もとに昼間のモデル、キン子がいるのでびっくりする。さて白坪理事抱込みに失敗を続ける錨商事は今度はさくら商会をしのぐ盛大な業者の温泉招待を思いつく。福岡への飛行機の中で会ったくま子を誘って牧田社長が宴会場近くの旅館に入ると、はからずも女連れのところを妻に見つけられて窮地に陥っている白坪理事を機転をきかして救う。感謝感激の理事はすべて今までの事を水に流して錨商事の製品売込みを引き受け、宴会も無事に終った。北九州進出も無事確立した。うれしそうな牧田社長の口利きで大森と麻理子、朝比奈と洋子の結婚がめでたくつづいて行われる話もまとまった。
牧田庄太郎
大森雄吉
朝比奈剛之助
会長岩子
牧田の妻登代子
大森の母たま
麻布洋子
マダムくま子
芸者麻理子
芸者〆福
深尾キン子
営業部長雨川
支社長付西田
白坪
白坪夫人
さくら商会大山
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