島田竜三
鳴海小次郎
角田喜久雄の原作を「月の影法師 消えゆく能面」の梅田卓司が脚色、新人第一回の西沢宣匠が監督した怪奇時代劇。撮影は「青蛇風呂」の竹村康和。
貧しい長屋の娘お鈴は、母から手放すことを禁じられていた五人囃子の雛人形を、母の薬代にと人形屋京屋松五郎に売ったが、その留守中、母のお千代は、浜人丹蔵と遊び人紋次のために殺されてしまった。お鈴もその帰途危いところを同じ長屋の住人鳴海小次郎と女目明しお銀、下っ引与吉に救われた。小次郎は早速京屋へ出かけたが、雛人形は二体を残し売れた後だった。京屋を訪ねた仇っぽい女と頭巾の武士は松五郎所持の二体の雛人形の首をちぎって胴体を探り、更に松五郎をおどして三箇の人形の売先きを行くと、松五郎を誘拐して消えた。小次郎は謎の武士が落した印籠の紋からそれが六千石の旗本小栗内膳の腹違いの弟竜之介のものであることを突きとめ、内膳が七、八年前に不明になった娘の行方を探していることを知った。五人囃子の内一体の胴体には、内膳が千代に渡した証拠の書附が隠されていたのであった。竜之介は、松五郎の隠した本物の二体を奪いとろうと京屋に乗込んだが、人形は何知らない小僧が屑屋に売ったあとだった。屑屋に売れた人形は長屋の路地で子供たちに拾われた。それを偶然発見した小次郎、首を引き抜く、と丸めた紙片が発見される。それには「千代の娘すず、十八歳の誕生日までに名乗り出ずべし、父、小栗内膳」と記されている。余りの事に茫然とするお鈴。小次郎は、いやがるお鈴をたしなめて、その日のうちに屋敷へ向う。途中、竜之介一味に行手をふさがれた。竜之介は身持放埓のため、勘当されたのを逆恨みし、落胤の秘密を知って六千石を乗取らんとしたのだった。雛人形は奪われ一行は古井戸にとじこめられた。一方、竜之介は、お仙をお鈴に仕立て小栗邸に乗り込むが、小次郎の出現でばれてしまう。小次郎と竜之介の一騎打ち、遂に小次郎の一閃が竜之介を斃した。
鳴海小次郎
お鈴
お篠
お銀
小栗竜之介
与吉
京屋松五郎
明石丹蔵
紋次
久六
喜助
お仙
千代
大黒屋
室町屋
伴兵部
権太