市川雷蔵
島田新之助
東京新聞に連載中の松本清張の同名小説を映画化したもので、徳川十三代将軍跡目相続をめぐる陰謀事件を中心にした時代推理劇。「お役者鮫」のコンビ衣笠貞之助と犬塚稔が脚色し、「情炎(1959)」のコンビ衣笠貞之助が監督し、渡辺公夫が撮影した。
徳川十三代の家慶は将軍とは名ばかりで、実権は大御所家斉が握っていた。更に勢力をはっていたのは、家斉の愛妾お美代の方の養父中野石翁であった。一時家斉の寵を奪ったお多喜の方はお美代の方のさしがねで葬られた。その時お美代の方を助けたのがお末女中の登美であった。登美はお美代の方の庇護のもとに大奥に仕えることになった。登美は幕政の改革に大志を抱く旗本島田又左衛門の意を体して大奥に潜入すべく、お美代の方に近づいたのだ。石翁の鋭い目は登美を注目し始めた。登美には瓜二つの顔をした豊春という町娘の姉がいた。豊春は又左衛門の甥新之助とくらしていた。宿下りを許された登美には早くも尾行者があった。新之助の隣に住む町医者良庵が、ある夜、極秘の使いで呼ばれてみごもった女を診察した。女は不義を犯したお美代の方附きの中年寄菊川だった。大奥紊乱の洩れることをおそれた石翁は、菊川を殺させ、姿を変えさせて水死人よろしく隅田川に流した。良庵は往診の途上何者かに誘拐された。これを知った新之助は石翁邸に忍び込み、女の衣類を土に埋める女中たちの姿を目撃した。菊川が宿下りしたまま城に戻らないという登美の手紙をみて、新之助、又左衛門らは水死人が菊川であることを認めた。家斉が卒中で倒れた。かねてよりお美代の方の孫にあたる前田家の若君を将軍の世継ぎに立てるべく画策する石翁一味は、家斉を陥れ、家斉のお墨附きを得て喜んだ。祝盃をあげる石翁に新之助は菊川の着物をみせ、顎然とする石翁の悪事を痛烈に罵った。激怒した石翁は侍を向けたが、新之助は身軽に邸をぬけ出し、捕えられたのは新之助の身を案じて邸に忍び込んだ豊春だった。折柄、家斉危篤の報があった。救い出した豊春からこのことを聞いた新之助は邸にひき返し、今しも登城寸前の石翁の手からお墨附きの箱を奪った。警備の侍が新之助を囲んだ。江戸城は夜に入っても、総登城の行列が延々とつづいた。
島田新之助
登美
中野石翁
大御所家斉
お美代の方
水野美濃守
良庵
島田又左衛門
中年寄菊川
女中霜
お多喜の方
小屋頭の娘お民
沼田十三郎
将軍家慶
奥村大膳
落合久蔵
下村孫九郎
瓦師六兵衛
火の番お蝶
大奥女中富佐
美濃部筑前守
脇坂淡路守
大奥女中須賀
大奥女中信乃
佐島付お女中二
おふみ
隣家のおせき
表使い与根
表使い八重
林肥後守
弥助
加藤飛騨守
土方大治郎
酒井方之助
水野越前守
大貫友次郎
浅田与市
井関宗六
勝見賛四郎
橋番の清六
竹本若狭守
法印中川常春院
岡部因幡守
西之丸足軽
法眼栗本瑞見
西之丸番侍三
用人結城左内
秋田玄治
西之丸番侍一
橋上の群衆の内甲
橋上の群衆の内乙
橋上の群衆の内丙
西之丸侍二
石翁邸仲間風の男
年輩のお女中
若いお女中
御坊主円喜
お次ぎの女中
佐島付お女中三
佐島付お女中一
中薩田毎
佐島付き瑠璃
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