大坂志郎
竹島高秋
婦人画報に連載された川端康成の原作を、矢代静一・山内亮一・西河克己が共同で脚色し、「若い傾斜」の西河克己が監督したメロドラマ。撮影も同じく「若い傾斜」の伊佐山三郎が担当した。
竹島家の長女・恵子は華やかな祝福を受けて嫁いで行った。その夜、次女の直子は近づいた華道矢田流の後継者・光介との結婚について考えた。家元である光介の母が結婚式場で再起不能の病に倒れたため、光介との結婚が急がれることになったのである。が、直子は光介の性格にある種の不安を覚えていた。--直子は、光介が主宰する新作発表会の会場で、精神薄弱児収容所みどり学園の教師をしている小林を知った。率直で飾り気のない人格に惹かれた。ある日、直子は母と旅行に出た。母の計らいで来た光介と出会った。その夜、光介の勧める酒に酔った直子は、彼の部屋へ誘い入れられていた--。小林が直子の家を訪れた。偶然、光介もやって来、婚約発表と、矢田流の新しい企画をたてるためにアメリカ行を申し出た。その場の空気に気がねした小林が、帰ろうと時計を取り出した時、それを見た母の宮子の顔色が変った。数日後、宮子はみどり学園をたずねた。宮子は小林の亡き父が、自分のかつての恋人であることを知った。矢田会館が設立の運びとなった。その華々しさが話題となった。が、光介にとっては華道における直子の実力が必要だった。直子は気が進まなかった。が、湖畔での光介との一夜があった。みどり学園の有力後援者・大川が、自分の息子の扱いを不満として小林の解職を迫った。小林はブラジルの孤児院へ行くことになった。直子の婚約発表の日、小林はホテルヘ駈けつけ、直子に一緒にブラジルへ行くよう頼んだ。だが、宮子やボーイたちにさえぎられた。直子が光介と羽田からアメリカへ発つ日、小林も横浜を出ることになった。玄関に立つ直子に父の高秋は「自分の道を歩まなかったという心の傷は人を一生不幸にするものだ」と言った。直子は動揺した。直子の胸に、忘れようと努めた小林の面影がよみがえった。車が横浜と羽田の別れ道にさしかかった。直子は運転手に「横浜へ行って下さい」とつぶやいた。小林の待つ横浜への道--これが直子の選んだ幸せへの道だった。
竹島高秋
竹島宮子
竹島恵子
竹島直子
竹島千加子
矢田光介
矢田菊代
小林甚吉
小林雄之助
近藤先生
真山英夫
真山夫人
大川源三郎
茂太
岡田
岡田夫人
会場係
[c]キネマ旬報社