千田是也
四井洋介
源氏鶏太の同名小説を映画化したコメディ。堀内真直・川辺一外が脚色し、「海流」の堀内真直が監督した。撮影も同じく「海流」の小原治夫。
郷土出身の大実業家四井洋介が何年ぶりかで帰省するというので、多貫市ではテンヤワンヤである。四井は以前百万円寄附したことがあるので、今度も多額の寄附金を目当てに、市長や市議たちが皮算用に夢中なのだ。四井が到着した。市長は彼に、多貫市の第一号名誉市民の称号を贈った。四井は帰って来た目的は単なる墓参だと言った。歓迎の宴会、四井は豆太郎の踊りに見入っている。別室では、市議たちが四井に五千万円の寄附をさせようと衆議一決した。四井は豆太郎を連れて離れへ立った。豆太郎は、富治というトラックの定期便の運転手の恋人がいると言った。貧しい二人は結婚できないのである。翌日、四井は幼な友達の善法寺の住職智曜を訪れた。そして、帰省の目的を語った。単なる墓参ではなく、大本化成という会社が事業拡張のため、百万坪の工場を建設することになり、その土地を選ぶために帰省したという。四井は帰京した。一週間たっても何の連絡もない。と、四井が脳出血で急死したという知らせがあった。多貫市では盛大な追悼会を催し、東京から遺族を呼ぶことに決めた。四井家では四井の義弟で四井商事専務の後藤と、秘書の花田を出席させることにした。この強要的な招待に何か裏があるのではないかと勘ぐった後藤は、花田を専務に仕立て、自分が秘書に身代りした。花田は「あ、そう」以外は答えないように後藤に言いふくめられた。後藤は裏でいろいろ内情をさぐった。豆太郎にも会った。追悼会が終ると、市長たちは三千万円の寄附をしてくれたら花田に五十万円のリベートを出すと申し出た。後藤は四井のメモ帳にあった通り、豆太郎に結婚資金の五十万円を与え、市長たちの慌てる様子を後にして多貫市を引揚げた。
四井洋介
文子夫人
後藤武
花田守
市長権田原
助役金目
市議須崎
市議丸無
市議小渋
市議洞田
市長秘書笹岡
豆太郎
スリの紳士
富治
陽一
智曜
鶴井旅館女中うめ
鶴井旅館女将
芸者桃千代
芸者照葉
芸者染太
芸者駒吉
警察署長
新聞社社長
検事正
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