瑳峨三智子
お夏
瑳峨三智子のお夏捕物帖シリーズの第一作。「新二等兵物語 吹けよ神風の巻の巻」の安田重夫の脚本を「柳生旅日記 天地夢想剣」の萩原遼が監督し、「花の幡随院」の石本秀雄が撮影した。
お江戸育ちで鉄火な娘、岡っ引亀五郎の一人娘お夏は、捕物小町とよばれている。ある日、町で彼女は、この頃江戸の街中をさわがせている娘さらいに追われる豪商大黒屋の姉娘お仙を救った。父善兵衛と継母お北はお夏に感謝したが、この家には何か暗い内情があるらしかった。帰ったお夏のところには、富本座で娘手踊りをやっているお千代からの手紙が待っていた。翌日富本座に出かけたお夏は、きあわせていた大黒家一家にさそわれて手踊りを見物した。ところが、見物中に舞台の天井に紅蜘蛛が現れ、お千代が倒れて死んだ。調べをはじめたお夏は奈落で紅蜘蛛を飼っている弥八老人を発見した。しかしお千代の身体には外傷がなく、心臓マヒとする他なかった。が、この死はいかにも不自然である。幼ななじみの恋人政次郎とともに、お千代は調べを続けることにした。折も折、亀五郎の子分平助が、お仙が心中したのを知らせてきた。お夏は、お仙の死体の女らしくない帯の結び目を見、また心中相手の番頭忠七がお仙の妹お君の恋人なのを知って不審を抱いた。お君を連れ子に大黒屋の後妻に入っていたお北が、裏口からどこかに出かけるので、お夏は後をつけた。謎の武士小泉天堂と会ったお北は家に帰った。その武士天堂は富本座の隣りの水茶屋に消えた。変装で茶屋を探ったお夏はそこに仕かけ部屋のあるのを知った。政次郎も乞食が水茶屋にもってきた「明朝出帆 衛」という紙片を手に入れた。その筆跡は善兵衛のものだった。善兵衛の部屋に忍び入ったお夏は、そこで彼を殺そうとしているお北を捕えた。善兵衛は「お仙を殺し、財産をお君に継がせる気か」と絶叫した。しかし意外にも今までの事件の犯人は、お北ではなかった。総ての黒幕は大黒屋の主人善兵衛だったのである。江戸にはびこる娘さらいも彼の仕わざで、彼はそれに気づいた人々を次次と殺していたのである。捨て子で、善兵衛に育てられていたお仙も、富本座のお千代も、その犠牲だったのだ。
お夏
亀五郎
政次郎
平助
大黒屋善兵衛
お北
お仙
お君
忠七
お松
下男与作
婆やおとく
女中およね
女中お年
番頭常吉
お千代
大五郎
小泉天堂
座頭千右衛門
弥八
お吉
権次
源吉
丑松
玉吉
倉造
三吉
長太
徳次
五助
吉三
源八
猪之吉
藤三
半次
茂兵衛
久蔵
勘助
芝居の見物客
瓦版売り
踊り子
踊り子
踊り子
踊り子
踊り子
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