榎木孝明
上杉謙信
戦国時代を背景に、上杉謙信と武田信玄との対決を描く時代劇。海音寺潮五郎原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は「キャバレー」の角川春樹。共同脚本は「いこかもどろか」の鎌田敏夫と「オイディプスの刃」の吉原勲。撮影監督は「スウィートホーム」の前田米造がそれぞれ担当。
天文十七年(一五四八年)時は戦国下克上、家臣が主人を倒し、内親同士で相争う乱世の只中、遠く都を離れた北国、越後でも新たな戦いが始まろうとしていた。守護代の位にありながら政務をおざなりにした兄・長尾晴景を討つべく、弟景虎が兵を挙げたのだ。仏教、特に刀八毘沙門天を厚く信仰する景虎は、戦場では軍神の如き冷徹な攻撃ぶりをみせる一方、内心では血を分けた兄に弓をひいた事に対する後悔の念に捉われていた。幼少時より景虎に仕えてきた軍師宇佐美定行は、その迷いを見抜き「乱世の運命からは遁れられぬ」と説くのだった。ある日、景虎は宇佐美の娘であり幼なじみの乃美と十年振りに再会する。日々合戦にあけくれる景虎にとって、乃美とすごす時は安らぎであった。乃美も景虎の身を案じて『龍』の文字の入った陣羽織を贈る。互いに思慕の情が湧くが、乃美の嫁入りという運命がふたりを引き裂いていった。同じ頃、険しい山々に囲まれた甲斐の国で上洛を果たさんと野望を胸に抱く武将がいた。守護大名武田晴信、後の信玄である。息子の太郎義信、側室で女騎馬隊を率いる八重、軍師山本勘介をはじめ屈強の家臣を持つ晴信は、着実に勢力を拡大していた。肥沃な奥信濃は、土地のやせている甲絞にとって是非とも手中に収めたい土地だった。晴信は北上し攻撃を開始する。追われた信濃の領主達は、隣国越後に失地回復を嘆願し、景虎との対決がそう遠くない事を予感していた。景虎はかつての主であった長尾家を裏切り、武田軍の役立てで越後を侵略しようとした昭田常陸介を倒すために兵を挙げる。昭田妻子を捕慮として捉え、城を包囲し降伏を迫るが昭田は景虎の使者を斬り捨て篭城する。宇佐美は覚悟のほどを見せるために妻子を討てと進言するが、景虎は非情になり切れずにためらう。いら立つ宇佐美が首をはね、昭田を陥落させたが、景虎の心には一国の主としての己のありかたに対する疑念が湧く。毘沙堂で真言を唱えながら苦悩する景虎。数日後、景虎は城を捨て、修行僧に姿を変え放浪の旅に出る。後を追う家臣達と雪深い信濃峠で再会するが、偶然にも晴信一行に出くわす。修行僧の姿で頭を下げる景虎たちのもとへ木の枝から落ちた雪の音に驚いた八重の馬が暴走し、杖で制しようとした景虎を成敗しようと斬りかかる太郎義信。その刃から主人をかばい馬廻りの戸倉弥八郎が殺されてしまう。武田側の無礼になすすべもなかった景虎は憤怒に震えながら、武田陣を討たんと決意するのだった。早春の夜、琵琶島城の宇佐美を二人の男が訪ねてきた。甲斐に走った大熊朝秀と武田の名軍師山本勘介だった。こうした会談の場をもったこと自体が、すでに武田に款を通じた証拠と、強弁する勘介の気迫に宇佐美は圧倒されるのだった。そのころ武田勢が甲府を進発したという報が春日山城に届いた。こうして景虎は川中島で死守する態勢をとるのだった。決戦の場、川中島で両雄はついに陣を構えた。景虎側と武田側とが激突し、乱戦を展開する。景虎はそこで武田の士気を挫き、戦国武将として成長してゆくのだった。無念の武田軍団が戦場を去って行く中、衝撃的な報が景虎の本陣に入った。武田の間者が宇佐美の謀叛を示す書状を持って捕まったのだ。心の隙を衝かれた宇佐美は自らの落ち度を認めて景虎と槍で果たし会い討たれるのだった。永禄四年秋、景虎は上杉謙信と改名し、晴信も武田信玄となった。そして両者は再び川中島にて、鬼神のごとく激突するのだった。
上杉謙信
武田信玄
乃美
八重
太郎義信
柿崎景家
直江実綱
大熊朝秀
村上義清
典厩信繁
沼田の妻
鬼小島弥太郎
奈弥辰蔵
曽根平兵衛
戸倉与八郎
秋山源蔵
勅使
昭田常陸介
侍女
橘屋又三郎
高坂弾正
飯富虎昌
山本勘介
宇佐美定行
監督、脚本、製作
脚本
脚本
原作
製作
撮影
音楽監督、主題歌
美術
編集
照明
録音
助監督
プロデューサー
アソシエイト・プロデューサー
アソシエイト・プロデューサー
音楽プロデューサー
スチール
スチール
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