ビビ・アンデショーン
Erika
ノエル・ベーンのベストセラー小説「クレムリンの密書」の映画化で、国際スパイ戦を描いた作品。製作は「愛と死の果てるまで」の新人カーター・デ・ヘブンがサム・ウィーセンサールと共同で当たっている。監督は「愛と死の果てるまで」のジョン・ヒューストン、脚色はジョン・ヒューストンとグラディス・ヒル、音楽は新人ロバート・ドライスニン、撮影は「愛と死の果てるまで」のテッド・スケイフ、美術はエルヴェン・ウェツブ、編集はデイヴィッド・アンダーソンがそれぞれ担当。出演は「ペルソナ」のビビ・アンデルソン、「アレンジメント〈愛の旋律〉」のリチャード・ブーン、「大侵略」のナイジェル・グリーン、「ファイヤークリークの決斗」のディーン・ジャガー、「その男ゾルバ」のリラ・ケドロワ、「哀愁の花びら」のバーバラ・パーキンス、「大反撃」のパトリック・オニール、「さらばベルリンの灯」のジョージ・サンダース、「メキシコで死ね」のマックス・フォン・シドー、「明日に賭ける」のオーソン・ウェルズなど。
クレムリンの密書--それは自由諸国がソ連と共同で中国の核基地を粉砕する協定を結んだことを裏書きする書簡。アメリカ情報部が誤って署名したこの密書をとりもどすため働いて捕えられたポラコフは、ソ連の情報部長コスノフ大佐(マックス・フォン・シドー)の拷問に耐えきれず、自殺してしまった。そこで、密書をとりもどし謎をとくため、ローン海軍少佐(パトリック・オニール)が“処女”という暗号名をもらい情報部に加入し、訓練をうけることになった。ジョージアの片田舎で“ワード”(リチャード・ブーン)という部長から“追いはぎ”(ディーン・ジャガー)を紹介され、彼から今後の指示をうけ、仕事の仲間を集めることになった。すぐに“アシュフォード卿の売春婦”というジャニス(ナイジェル・グリーン)、“手品師”というホモ男(ジョージ・サンダース)、“B・A”(バーバラ・パーキンス)という金庫破りの天才娘等が集まった。そのころソ連側も国連総会出席中のブレスナビッチ(オーソン・ウェルズ)が、情報集めにやっきになっていた。一方、予備訓練を続けていたローンには、“B・A”との間にロマンスが芽生えていた。そして、そうした間にもローンは情報を集め、ポラコフと関係のあったドイツの売笑婦エリカ(ビビ・アンデルソン)などのことを知った。やがてスパイたちは、ソ連に侵入。ジャニスは悪名高い大姉姐ソフィ(リラ・ケドロワ)に接近、ローンは現在コスノフの妻となっているエリカと関係をつけ、コスノフ家の秘密をかぎつけた。やがてモスコーに戻ったブレスナビッチの名が表面化してきた。彼は麻薬中毒患者で、同じホモのポラコフと手を結び、ソ連内の重要美術品をパリへ密輸していたのだった。“ワード”は調査のためパリへ飛んだ。ある日、スパイたちの隠家がソ連の秘密警察の手入れにあい、“手品師”“B・A”、ジャニスが逮捕されてしまった。そこでローンは、悪事の証拠をネタにブレスナビッチを脅し、3人の安全を保障させ、密書は北京にあると伝えた。その後、ローンは“ワード”と再会。やがてローンがそこを去ると、後に残った“ワード”は1人でそこへ来たエリカを殺し、ローンの後を追った。空港で2人はコスノフと秘密警察に包囲されたが、“ワード”の妨害で何事も起こらなかった。そして彼は、自分の仲間を虐殺したコスノフの息の根をとめた。ローンはいま初めてスタードバンドという冷酷な情報部員と“ワード”が同一人物であることを知った。やがて“ワード”は、自分がコスノフの後釜に坐り、ブレスナビッチの直属として働くと言明。彼に生命を保障され、“B・A”の生命をも預けたローンは、だまされ続けたくやしさを胸に、機上の人となった。
Erika
Ward
The_Whore
Highwayman
Sophie
Rone
B.A
Warlock
Kosnov
Breshavitch
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