岸部一徳
山岡医師
ガン告知を受けた患者たちの闘病の日々を、彼らと接する家族や医師らの姿を交えながら描き、ターミナルケア(末期医療)の問題をとらえたドラマ。山崎章郎の同名原作(主婦の友社・刊)をもとに、「ご挨拶」の中の一挿話『佳世さん』の市川準が監督・脚本。患者たちの姿はフィックスで据えたフルサイズのベッドの映像で終始描写され、随所に人生のイメージを四季にわたり追った映像がはさみ込まれていく、ドキュメンタリー的な手法で描いていく。キネマ旬報ベストテン第三位。
ターミナルケアに取り組む山岡医師の抱える四人のガン患者とその家族が登場する……。川村健二老人(26歳)の病室に妻の秀子が入院してきた。だが川村は大腸ガンであったのに対し、秀子はこの病院では手掛けていない肺ガンであり、彼女はやがて他の病院に移っていく。息子たちは父の願いを聞き、ある日彼を妻のいる病院へ連れていく。たった三〇分の再会であったが、それは家族にとって忘れられないものとなった。野村(42)は自分の病名を知らず入院し、手術によりガンを取り出すことも出来ないまま、いったん元気に退院した……。池田春代(60)は最初見舞いに来る慎二や和子ら子供たちと明るく語り合っていたが、二度の手術を経て、入院生活が長くなるにつれわめきだすようになる。そんな彼女に山岡は真実を告知する。春代は自宅に帰りたいと言い出すが、その遺志を山岡は尊重した……。身寄りのない行き倒れで入院してきた藤井はかなり進行した食堂ガンだった。彼の遺体は市のケースワーカーが引き取っていった……。やがて野口が再入院してくる。野口も妻の容子ら周囲に当たり散らすようになる。だが山岡に望んで真実を告知された彼は、徐々に冷静になりいったん自宅に戻った。そして子供たちにも全てを話し、充実した時を過ごす。自分が近いうちに死ぬのはもう少しも怖くない、ただ子供こちのために、一日でも長く生き延びたいと山岡に語り、手術を依頼する……。
監督、脚本
原作
製作
製作
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撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
企画
プロデューサー
スチール
[c]キネマ旬報社