ゲイリー・クーパー
John_Doe
「或夜の出来事」「オペラ・ハット」等と同じくフランク・キャプラ、ロバート・リスキンのコンビになる1941年度映画で、製作には監督のキャプラ自身が当たってウォーナー・スタジオで撮影された。リチャード・コネルとロバート・プレスネルの原作からリスキンが脚色、撮影は「レベッカ」のジョージ・バーンズ、音楽は「西部の男」のディミトリ・ティオムキン。「征服されざる人々」のゲイリー・クーパー、「第二の妻」のバーバラ・スタンウィックを中心に、「夢みる少女」のエドワード・アーノルド、「北西への道」のウォルター・ブレナン、「気まぐれ天使」のジェームズ・グリースン、「呪われた城」のスプリング・バイントン、「Gメン対間諜」のジーン・ロックハートらが共演する。
ある地方都市の新聞者は経営者交替で大量馘首が行われ、婦人記者アン(バーバラ・スタンウィック)もその犠牲になった。憤慨した彼女は、ジョン・ドウの署名で「この嫌悪すべき世界に抗議するため、自分はクリスマス・イヴの真夜中、市公会堂の塔上から飛下りて自殺してみせる」という記事を書いて社を飛び出した。記事は大問題となり、新編集長コネル(ジェームズ・グリースン)は彼女を呼び出したが、彼女はこの問題を利用して発行部数を増加させてみると豪語し、ジョン・ドウなる男を仕立てて彼女が毎日その記事を書く条件で復職した。集まって来たジョン・ドウ志願者の中で彼女の目にとまったのは、ジョン・ウィロービー(ゲイリー・クーパー)という田舎リーグの投手くずれであった。彼は相棒「大佐」(ウォルター・ブレナン)とヴァガボンド生活を送っていたが、アンの傀儡として豪華なホテル住まいをさせられ、ラジオに出演したりして全国の人気者になってみるとつくづく自由な生活がほしくなり再び「大佐」と共にオレゴンへ放浪の旅に出た。しかしそこでも民衆の偶像になっていることを知ると、かえって彼はジョン・ドウとして立ち上がらなければならぬと思いはじめ、アンと共に全国を遊説した。「大佐」は彼に愛想をつかし去って行ったが、やがてジョン・ドウ全国大会が開かれる直前ジョンは酔ったコネルからこの運動が社長ノートン(エドワード・アーノルド)の選挙運動の手段であることを聞いた。彼は社長宅に乗り込み、大会で一切の真相を暴露すると叫んで、雨の大会場に走ったが、早くもノートンは部下を差し向けてジョンを壇上から引きずり降ろした。何十万の群衆を前にイカサマを見破られたジョンはこの時以来人々から姿を消した。クリスマス・イヴ、ジョンを想って病床にあったアンは公会堂にかけつけた。一歩早くノートンらも塔に上り、いずこからとなく現れてまさに飛び下りようとするジョンをとめかねていた。しかしジョンもアンの必死の願いにだけは抗しかねアンを抱いて立ち去った。
John_Doe
Ann_Mitchell
D._B._Norton
The_Colonel
Mrs._Mitchell
Connell
Mayor_Loyett
Ted_Sheldon
Beany
Bert
Spourpuss
Angelface
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