市原悦子
ヒサコ(声)
監督で原作者でもある山田火砂子が、知的障害者の娘と健常に生まれた次女との3人で過ごした30年間の実話をもとに、差別社会への疑問をユーモアを交えてつづった長編アニメーション。声の出演はテレビでも活躍の市原悦子をはじめ、坂本千夏、飛田展男、千葉繁らがそれぞれの持味を発揮している。
ナイーヴな心を失わずに成長する知的障害者のミキ。周囲の迷惑はおかまいなしに、妹のユウが大事に育てていたトマトを齧ったり、母・ヒサコの大切なダイヤモンドや金のメガネフレームを捨ててしまったり、サラダ作りに挑戦して床を油浸しにしたりと、家族の苦労は絶えない。それでもミキのまわりにはいつも笑顔があふれていた。ミキの小学校への就学を辞退するようにと勧められたヒサコは、あちこち奔走して公立小学校の身障児学級に入れてもらうよう話をつけていたが、150人中3人しか合格しないという難関の大塚養護学校を受験したミキは、見事合格して養護学校に通うようになった。毎日一人で通学するようになったミキは、ある夕方、家とは反対方面の電車に間違えて乗ってしまう。ヒサコは心配して方々を捜しまわったが、ミキの姿はなかった。夜も遅くになって九十九里近くのゴルフ場から連絡が入る。迷子のミキを保護してくれたのは、親切なレストランの支配人だった。大塚養護学校を卒業して仙台の養護学校に通い始めたミキは、学校の屋上で飛行機を見ているうちに、その飛行機の中に亡くなった父親・ロクの姿があるような気がして、自分も青空へ飛びたくなり、給水塔の上から落ちてしまう。無事に意識の戻ったミキは、その間ロクの幻をみていたような気がした。数年後、ユウの結婚式の帰り道、ヒサコはミキを連れて海へ行った。実はその海は、ミキが2才の時、娘の知的障害を知らされたヒサコが、ショックのあまりミキを連れて自殺しようとした場所だった。28年が経ち、同じ海を前に、ヒサコはそのことをミキに告げた。
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