大人に反旗を翻した子供たちと、それによって虐待される大人たちの姿を描いた空想世界映画。監督は他方面でその才能を発揮した故・寺山修司。寺山初期のラジオ・ドラマ『大人狩り』をベースにして70年に製作されたこの作品は、71年に再編集され27分の短縮版として公開されていたが、今回は寺山自身が所蔵していた唯一のオリジナル・プリントから修復したオリジナル・ディレクターズ・カット版での公開となった。96年、ロッテルダム国際映画祭特別招待作品。
ストーリー
大人に対し、ついに全国の子供たちが蜂起。逃げ隠れる大人たちを次々に狩って、独立国家を築いた。皇帝を置いた彼らは、その好物のトマトケチャップを国民の象徴とし、トマトケチャップ憲法や×(バッテン)法典などを制定。国をユートピアにするために様々な活動を見せる。特に彼らが力を入れたのは、それまで子供たちに対して横暴の限りを尽くした学校教師や警視庁青少年関係者などへ極刑を下すことだった。こうして大人と子供の関係が崩れていく中、それを象徴するような出来事が起こる。逃亡生活を送る母へ心配の手紙を書き続けていた少年が、自分の立場を案じて母の行方を上へ密告してしまったのだ。せめてもの救いは、「捕らえられた母親が気違い病院に収容されたら…」と彼が最後の手紙につづったことだった。
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 1996年
- 製作国
- 日本
- 配給
- イメージフォーラム
- 初公開日
- 1996年1月27日
- 上映時間
- 75分
- 製作会社
- 自主製作作品
[c]キネマ旬報社