平林広宣
加津山稔
コミック少女雑誌の編集者、その恋人、女性漫画家のアシスタントの三角関係を軸に、若者たちの心の動きをすくいあげた青春映画。監督・脚本はこれがデビュー作となる山口貴義。撮影は塩田明彦が担当。
マイナーな少女コミック雑誌の編集部に務める加津山稔は仕事に情熱を燃やせず、転職を考えているが実行に至っていない。彼にはOLをやめて失業保険で暮らしながら絵を描いている恋人・京子がいる。二人は結婚したいかどうか自分たちでも分からず、何となくつき合っていた。ある日、稔は編集者泣かせで有名な渡辺エミという漫画家を担当することになる。催促すれども描き上げてくれないエミの自宅を幾度となく訪問するうちに、エミの妹でアシスタント役のユミと一夜をともにしてしまう。京子と別れるわけでもなく、ユミと関係を続ける稔。一方、京子は頼まれて友達に稔の車を貸して、旅先で乗り捨てられてしまう。だが、友達を問い詰めると逆に開き直られて怒る気を失くしてしまう。稔はエミの描き上げた原稿を手にした日に、ユミがエミの前の担当者とも関係があることを知るが何もしようとしない。そんな時京子はいとこに誘われ、ブラジルへ旅立つ。しばらくたち、旅行を延長するというハガキを受け取った稔は、その時初めて自分が本当に愛している女性が誰かということに気づくのだった。
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