五代目坂東玉三郎
ナスターシャ、ムイシュキン公爵
ポーランドを代表する巨匠・アンジェイ・ワイダ演出、歌舞伎役者であり舞踏家の坂東玉三郎・主演の舞台劇『ナスターシャ』の映画化作品。ワイダは80年7月、南座で公演された『椿姫』を鑑賞し主演の坂東玉三郎に注目、かつてポーランドで自身が手掛けた『ナスターシャ・フィリポブナ』というドストエフスキーの長編『白痴』をベースにした演劇を、玉三郎主演で作り替えることを思い立った。89年3月その試みは東京下町の小劇場・ベニンサンピットで実現し、国際的にも高い評価を受けた。映画化作品は、94年4月1日~5月31日に催された『TAMASABURO PROUDLY PRESENTS NEW TRIAL CINEMA EVENT 1』(企画=シネマ・イヴェント実行委員会/主催=TOKYO FM/提供=オデッセー)のメイン・プログラムとして初公開され札幌を皮切りに全国で巡回上映され、その後10月29日~11月11日に都内の劇場でロードショー公開された(短編作品『「坂東玉三郎舞踏集」より「稲舟」』併映)。
19世紀後半のロシア。首都・ペテルスブルグへ向かう列車の中で、ラゴージンとムイシュキン公爵は出会った。ラゴージンは亡くなった父親の莫大な財産を手にするため生家へ戻る途中、ムイシュキンは持病の癲癇の療養のため滞在していたスイスから四年ぶりに祖国へ帰る途中であった。野生的で荒々しい気質の持ち主であるラゴージンと、物静かで純粋なムイシュキン。この対照的な2人の間に不思議な友情が芽生えてゆく。ペテルスブルグへ到着した2人の前にナスターシャという不幸な過去を背負う女性が現われる。その苛酷な半生は彼女を、退廃したサロンで男たちの心を一身に集める美貌と才知を備えた女性に育て上げていた。″女王″のように振る舞う彼女の虜となったラゴージンは、彼女を金の力で買い取ろうとする。ムイシュキンは彼女の美しさに隠された苦悩を、我がことのように感じ取り求婚する。彼の純粋な愛を受け入れながらも、そのあまりにも無垢な魂を傷つけることを恐れたナスターシャは、結婚式の当日ラゴージンのもとに走ってしまう。ムイシュキンはようやくラゴージンを見つけだし彼の家へ。そこでムイシュキンはベットに横たわるナスターシャの美しい屍に出会う。
監督、脚本
脚本
原作
撮影
美術、衣装デザイン
日本語台詞
原作翻訳
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