近衛十四郎
柳生十兵衛
“柳生武芸帳”シリーズの第二作。脚色・結束信二、監督・井沢雅彦、撮影・杉田正二と「柳生武芸帳(1961)」の顔ぶれ。
大和の国、柳生本陣の奥深く秘められた柳生武芸帳浮月の巻が嵐の一夜盗み去られた。将軍家指南役の柳生新陰流の地位をねらう疋田陰流一派の霞の多三郎の仕業だ。一派の隠れ家は根岸にあり、千四郎、多三郎を頭に秋葉信助、原田菊二郎、しぐれのお銀らいずれも大老土井大炊守と結び、幕閣の利け者、永井信濃守、松平伊豆守の失脚をもねらっている。土井大老は将軍家光に働きかけ、柳生宗矩に水月の巻を差し出させるようしむけた。返答に困った宗矩は苦肉の策として長男十兵衛が乱心し水月の巻を手に出奔、浮月の巻は柳生の庄にあり江戸に取り寄せるまで五日の猶予を、と返答した。お家の大事ばかりか天下の大事を双肩に担った十兵衛は江戸の巷にまぎれこみ、土井大老の出方を待った。大老は腹臣弓削三太夫に十兵衛の名をかたらせ、辻斬りをさせた。そのため十兵衛は捕手にねらわれ、大久保彦左衛門の屋敷にかくまわれるが、そこで忍び込んできた霞の千四郎を斬り、三太夫との対決を申し入れた。夜の寛永寺境内で十兵衛は、後をつけてきた多三郎と十兵衛を案じて若衆姿で現われた信濃守の妹清姫の前で三太夫と渡り合ったが勝負は一時預けることになった。翌日、宗矩のもとへ、次弟又十郎と妹於きの命を引きかえに水月の巻を渡せという手紙。二人は兄を助けようとして深入りしすぎ土井大老の手に落ちたのだ。しかし宗矩はこれを拒否した。十兵衛は片目の浪人根来角兵衛と名乗り土井大老に近づくが、正体を見破られ、さらに清姫が捕えられてくるのも目にしながらどうすることもできない。家光に武芸帳を差し出す日が来た。十兵衛は殿中の法度を犯し朝駆けで家光に目通り、武芸帳の秘める天下騒乱の因を説き明かし土井大老の陰謀を告げた。真相を知った家光は、信濃守に土井大老邸で夜桜の宴を張ることを命じ十兵衛に正義の剣を下すことを許した。
柳生十兵衛
清姫
柳生但馬守
柳生又十郎
於き
将軍家光
松平伊豆守
大久保彦左衛門
いなごの鳩助
弥吉
土井大炊守
河瀬主膳
弓削三太夫
霞の千四郎
霞の多三郎
しぐれのお銀
秋葉信助
原田菊二郎
権造
坂和田嘉六
相川新二郎
半平
お久美
お菊
お鈴
柳生源太夫
笠間又兵衛
藤の尾
永井信濃守
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