風祭ゆき
坂本沙織
平穏な毎日に飽きたらなくなった夫婦が、異常な刺激を求めていく愛欲の生活を描く。脚本は小水一男、監督は「山の手夫人 性愛の日々」の小沼勝、撮影は「宇能鴻一郎の浮気日記」の森勝がそれぞれ担当。
坂本と妻の沙織はふた回りも年の違う夫婦で、平穏な生活に飽きたらない毎日を送っている。ある日、新宿のヌードスタジオに入った坂本は、由香という少女に一目惚れしてしまう。坂本は由香にマンションを与え、快楽の日々を送る。その日、坂本がマンションに入ると由香が血だらけになって倒れていた。そこへ、二人の覆面男が現われ、坂本に血のついた石を握らせると、写真を撮ってしまう。「お前は殺人犯だ、タレこまれたくなかったら一千万円だせ、女房を抱かせるなら半額でいい」と賊は迫る。坂本は小切手に五百万円と書きこんだ。坂本夫婦は別荘に遊びに行った。その夜、坂本が散歩に出た後、二人の男が現われ、沙織を交互に犯していく。一人の男のペニスには真珠が入っていた。沙織は強姦されたことを夫に話すが、「忘れろ」と反応は冷たい。別荘で働くヨシという少年は、沙織に憧れ、夫婦の行為を覗いてはオナニーに耽っている。沙織はそんなヨシをからかって挑発したりしていた。数日後、沙織は由香のヒモの吉田に会い、金を渡した。実は、由香殺しは、夫と由香を別れさせるために沙織の仕組んだ芝居だった。吉田は坂本夫婦の双方に喰いつき、金を取っていたのだ。吉田は沙織に、金の他に体も求めた。吉田のペニスには真珠が……。「あんたは亭主に売られたんだよ」と吉田はバラす。あの時、夫は犯される私を見ていたんだ。そう考えると、沙織は吉田の愛撫に燃え上がった。暫くして、坂本は、由香が生きていて、あの事件は沙織の手引きだったことに気づいた。愕然とする坂本。沙織は由香のように娼婦のようなポーズで坂本に迫る。数日後、ヨシと数人の若者が別荘に入ってくると、坂本の眼の前で、次々と沙織を犯していく。その光景を見ながら、坂本は不覚にも、勃起していた。「やめてくれ」と哀願しながらも、快感に身をよじる坂本。別荘を出ていく若者たち。「私が犯されるのを見たかったのね」と沙織は坂本をなじる。これも沙織が仕組んだことだった。
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