ダニエル・オルブリフスキ
Janusz
旧約聖書の“十戒”をモチーフに、人間世界の様々な問題、事件、感情、人間関係、運命を描いた10のエピソードからなる連作の人間ドラマ。それぞれ1時間ずつのエピソードで、当初テレビのミニシリーズを想定して製作されたが、ヨーロッパ各国の劇場で上映された。10の挿話はそれぞれに独立した作品となっているが、登場人物はいずれも同じワルシャワ効外の集合住宅の住人で、ある挿話の主人公が他の挿話に脇役として顔を見せる。監督は本作の評価がきっかけで国外に活動の拠点を移し、「ふたりのベロニカ」「トリコロール三部作(青の愛/白の愛/赤の愛)」のポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ(95年死去)。製作のリシャルド・フートコフスキ、脚本をキェシロフスキと共同で手掛けるクシシュトフ・ピェシェヴィチ、音楽のズビグニェフ・プレイスネルは、いずれも以後キェシロフスキ監督の全作品に参加。全10話中第9話まで、それぞれ異なる役柄で登場する謎の青年はアルテュル・バルシス。ちなみに、第5話と第6話はそれぞれ劇場用長編映画に再編集され、「殺人についての短いフィルム」「愛についての短いフィルム」としてすでに公開済だが、構成やエンディングなどが異なるため掲載した。89年ヴェネチア映画祭国際映画批評家連盟賞、88年ヨーロッパ映画グランプリ受賞。
クリスマス・イヴの晩、タクシー運転手のヤヌス(ダニエル・オリブリスキ)はサンタクロースの恰好をして子供たちを喜ばせ、家族でミサに行き、と例年通り模範的な父親として過ごしていた。ところがそこへ昔の恋人エヴァ(マリア・パクルニス)から電話がある。もう何年も会ったこともない相手だが、それでも夫のエドヴァルトが行方不明になった、助けてくれと言われれば、お人好しの彼には断れない。かといって妻に昔の恋人と出掛けるというわけにもいかず、口実をつくって慌てて家を出る。二人は警察に行って保護された酔っぱらいを見に行き、病院の救急外来を訪ねるが、エドヴァルトの姿はない。エヴァは次々と心当たりの所を言い、ヤヌスはタクシーを走らせ、あげくの果てには警察にスピード違反で捕まりそうになった。こうして一晩中彼女に振り回され、明け方に駅に行ったところで、エヴァは真実を明かす。夫が行方不明というのは嘘で、そもそもそんな男はいない。クリスマスにはひとりぼっちの彼女は寂しさを紛らわせたい一心で、嘘をついていたのだ。
Janusz
Ewa
Januz's wife
Aunt
Tram-driver
監督、脚本
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
音響
字幕
字幕監修
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