アンナ・ポロニー
Ewa
旧約聖書の“十戒”をモチーフに、人間世界の様々な問題、事件、感情、人間関係、運命を描いた10のエピソードからなる連作の人間ドラマ。それぞれ1時間ずつのエピソードで、当初テレビのミニシリーズを想定して製作されたが、ヨーロッパ各国の劇場で上映された。10の挿話はそれぞれに独立した作品となっているが、登場人物はいずれも同じワルシャワ効外の集合住宅の住人で、ある挿話の主人公が他の挿話に脇役として顔を見せる。監督は本作の評価がきっかけで国外に活動の拠点を移し、「ふたりのベロニカ」「トリコロール三部作(青の愛/白の愛/赤の愛)」のポーランドの名匠クシシュトフ・キェシロフスキ(95年死去)。製作のリシャルド・フートコフスキ、脚本をキェシロフスキと共同で手掛けるクシシュトフ・ピェシェヴィチ、音楽のズビグニェフ・プレイスネルは、いずれも以後キェシロフスキ監督の全作品に参加。全10話中第9話まで、それぞれ異なる役柄で登場する謎の青年はアルテュル・バルシス。ちなみに、第5話と第6話はそれぞれ劇場用長編映画に再編集され、「殺人についての短いフィルム」「愛についての短いフィルム」としてすでに公開済だが、構成やエンディングなどが異なるため掲載した。89年ヴェネチア映画祭国際映画批評家連盟賞、88年ヨーロッパ映画グランプリ受賞。
6歳になるアニヤ(カタリナ・ピオマルスキー)は毎晩悪夢にうなされ、姉のマイカがなだめようとするといつも母のエヴァ(アンナ・ポロニー)が横取りする。マイカは母への不満がつのっていく。というのも。アニヤは実はマイカが十六歳のときに生んだ子なのだ。マイカは娘を取り返す計画を立てて、学校の人形劇の最中に客席で見ているエヴァの目を盗んで娘を連れだす。マイカは自分こそが本当の母親だと教えようとするが、幼いアニヤには分からない様子だ。彼女は娘をつれて、効外の田舎屋にいく。そこに住む若い男ウォジェク(ボゼナ・ディキエル)こそアニヤの真の父親であり、マイカの高校のときの教師だった。その学校の校長であるエヴァはウォジェクに因果を含めて学校を辞めさせ、孫のアンナを自分の娘といつわることでスキャンダルを封じ込めていたのである。親子三人で生活をやり直そうというマイカだが、ウォジェクは乗り気ではない。マイカは母に電話をしたいというが、ウォジェクはうちには電話がないといい、彼女は離れた駅まで電話をかけにいく。母にこれまで6年間の恨みを述べて、これからは親子で遠くに行く、もう母の干渉は受けないと告げる。だがそのあいだにウォジェクはことの次第をマイカの父ステファン(ウラジスラウ・コワルスキ)に電話で報告していた。マイカはアンナを連れてウォジェクの家を抜け出し、カナダに旅立つための始発列車に乗るため駅に向かう。だが朝、ウォジェクの通報を受けたエヴァとステファンも駅に来た。アニヤは自分が母だと思っているエヴァの元に行き、マイカはひとり旅立つのだった。
Ewa
Majka
Stefan
Ticket Woman
Ania
Wojtek
監督、脚本
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
音響
字幕
字幕監修
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