ニコライ・コスター・ワルドー
Martin
病院のモルグ(死体安置所)を舞台にした、連続猟奇殺人事件の顛末を描くホラー・サスペンス。デンマーク国内では「フィラデルフィア」「シンドラーのリスト」「ペリカン文書」などを抑えて94年度興収第1位を記録した。監督・脚本は、デンマークのTV界で活躍し、これが長編デビュー作となる新鋭オーレ・ボールネダル。本作で一躍注目された彼は、アメリカのミラマックス社と「モルグ」のリメイクを含む3本の映画を撮る契約を交わし、95年12月に家族とロサンゼルスに移住した。主演は、本作でデビューしたニコライ・コスター・ワルドー。共演は、ドナルド・サザーランド主演の「黄金の肉体/ゴーギャンの夢」でデビューし、「アーリー・スフリング」などでデンマークを代表する女優として知られるソフィー・グラボエール、同じくデンマークの舞台やTVで活躍するコメディ俳優のウルフ・ビルガードほか。95年度ブリュッセル国際ファンタジー・スリラー・SF映画祭で観客賞を受賞。俳優座トーキーナイトのレイトショー企画「ユーロ・ニューオーダーズ」の第3弾として公開された。2025年1月17日より30 年の時を経てデジタルリマスター版で「モルグ 屍体消失 デジタルリマスター」の邦題で上映。
法学生のマーティン(ニコライ・コスター・ワルドー)の新しいアルバイトは、病院のモルグでの夜警の仕事だった。暗い病棟、死体とホルマリンの匂い、さらに前任者の老人から聞かされた死姦の噂に、彼の気持ちは次第に憂鬱になっていく。ある日、親友で変わり者のイェンス(キム・ボドゥニア)がマーティンをゲームに誘う。それは「互いが相手に命令を出し合い、それを実行しなかった者が罰を受ける」という奇妙なものだった。マーティンは娼婦のジョイス(リッケ・ルイーズ・アンデルソン)とデートを、イェンスはならず者と喧嘩と、彼らのゲームは約束どおり早速始まった。そんなある夜、連続殺人鬼を追うウォーマー警部(ウルフ・ピルガード)と共に、新しい被害者の死体がモルグに慌ただしく運び込まれた。死体は無残にも皮を剥がされていた。次の夜、マーティンがモルグを警備中、例の被害者の死体が忽然と消え失せた。点々と続く血の跡を追っていくマーティンは、廊下に放置された血だらけの死体を目撃する。だが、彼の緊急連絡で宿直医やウォーマー警部たちが駆けつけた時には、死体は元に戻っていた。翌日、ジョイスがマーティンの恋人カリンカ(ソフィー・グラーボエル)の元を訪れ、マーティンたちのゲームをやめさせるよう訴えた。カリンカは、ジョイスの存在に動揺する。その日の夕方、病院に出勤したマーティンに、医師たちが冷笑を浴びせる。モルグが荒らされ、若い女の死体が犯されたのだ。彼らはマーティンが犯人だと思っている。何物かが巧みに、彼に罪を着せようとしていた。一方、カリンカは真実を知るためジョイスの部屋を訪れるが、そこで彼女が見たものは、殺されたばかりのジョイスの死体と犯人の影だった。警察は連続殺人の容疑者としてマーティンを追い始めるが、彼の無実を信じるカリンカとイェンスは、マーティンの危機を救うため病院に向かう。だが、驚くべきことに真犯人はウォーマー警部だった。イェンスを殺した警部はカリンカを捕らえ、マーティンを襲った。マーティンは必死に抵抗し、彼女を救出。警部は駆けつけた警官たちに射殺され、事件は幕を下ろした。
Martin
Kalinka
Jens
Lotte
Joyce
Inspector Wormer
[c] THURA FILM 1994
[c]キネマ旬報社