ダスティン・ホフマン
Teach
古い5セント白銅貨をめぐり、欲に目が眩む人間の弱さにスポットを当てた密室劇。主な登場人物はわずか3人のみで、全編に渡って繰り広げられる台詞の応酬が圧巻。現代アメリカ演劇界を代表する劇作家で、「評決」「アンタッチャブル」「摩天楼を夢見て」など映画脚本も多いデイヴィッド・マメットが、75年に初演以来、ブロードウェイでロングラン・ヒットを記録した自らの出世作を映画用に脚色。監督は演劇界出身の新人で、『Federal Hill』に続いて2本目の映画となるマイケル・コレントが抜擢された。製作はマメットのパートナーで、これが初の映画製作となるグレゴリー・モッシャー、音楽は「ラリー・フリント」のトーマス・ニューマン、美術は「恋愛の法則」のダニエル・タルパース。出演は「スリーパーズ」のダスティン・ホフマン、「ダイ・ハード2」のデニス・フランツ、「フレッシュ」のショーン・ネルソン。
故物商の主人ドニー(デニス・フランツ)は、ボビー(ショーン・ネルソン)という少年を使い走りとして雇っている。ボビーにとって、ドニーは主人というばかりでなく、父親のような感情を抱ける人物だ。ある日、2人は路上で昨晩のポーカーの大負けで機嫌が悪いティーチ(ダスティン・ホフマン)に出くわす。3人はドニーの店に入り、ティーチはドニーとボビーが興味深いやりとりを交わしているのを聞く。ティーチに尋ねられたドニーは、ボビーが「今朝見つけた」というある男のことを話した。その男はコインのコレクターらしく、店にあった年代物の5セント銅貨“アメリカン・バッファロー”を90ドルで買っていったという。本当はその5倍はするかもしれない代物で、コインの値打ちも知らずに売ってしまったドニーは、ボビーと共にその男の家に忍び込み、コインを盗もうとしていた。ティーチはこの計画に一枚加わろうとするが、ドニーは許さない。しつこいティーチは「子供に何ができる」とねじこみ、ドニーもその気になってボビーを外すことにした。自分の思いどおりになったティーチは得意気に計画を練るが、彼が傲慢さに腹を立てたドニーは「友人のフレッチャー」も仲間に加えようと言う。分け前が減るので、ティーチは機嫌が悪い。夜の23時。約束の時間がきても、店にはまだだれも来ない。そこへボビーが「コインを手に入れた」とやって来たが、ドニーは取り合わない。遅刻したティーチは、フレッチャーを待ち続けるドニーに対し、「奴抜きでやろう」と主張し、癇癪を起す。そこへボビーが現れ、「フレッチャーが襲われ、病院に担ぎ込まれたようだ」と言う。ティーチは「ボビーはフレッチャーやルーシーらと組んで、先に強盗に入ったのだ」と言う。ドニーは病院に電話をかけるが、フレッチャーはいない。ティーチはボビーを厳しく問い詰めて激しく殴りつけた。その時、ルーシーからの電話が入り、フレッチャーは別の病院にいると言う。呆然とするドニー、血だらけのボビーは、彼のためにコインを専門店で買ったことを白状する。良心の呵責に苛まれるドニー。だが、ティーチはまだ腹の虫がおさまらず、ドニーと言い争いを始めた。そんな2人に、ボビーは「今朝、あのコインの男を見つけたのは嘘だ」とぶちまけた。やけになった荒れるティーチと、恐ろしい過ちを犯したことに気づくドニー。ボビーを病院に連れて行こうとするドニーの耳にはティーチの運転する車のクラクションの音だけが鳴り響いていた。
監督
脚本
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