ヴィルジニー・ルドワイヤン
Valerie
恋人の子供を身ごもった少女が産むかどうかを決断するまでの時間をリアルタイムで切り取り、自分の運命を切り開いていく、少女の心の動きをみずみずしく描いた青春映画。監督は「デザンシャンテ」のブノワ・ジャコー。撮影は「パリでかくれんぼ」のカロリーヌ・シャンプティエが担当。主演は「カップルズ」のヴィルジニー・ルドワイヤン。共演は「夜の子供たち」のブノワ・マジメル、「私の男」のドミニク・ヴァラディエほか。
早朝、サン=ラザール駅のそばのカフェで1人の若い男レミ(ブノワ・マジメル)が不機嫌な様子でいる。そこに黒の短いスカートをはいた若い女ヴァレリー(ヴィルジニー・ルドワイヤン)が入ってくる。レミが出ようとすると1時間も待ち合わせに遅れたのは地下鉄が故障したせいで立ち通しだったから座らせてくれとヴァレリーは言う。恋人同士の2人の間には気まずい雰囲気が漂っている。些細な言い争いを繰り返して、ついにヴァレリーは自分が妊娠したことを告げる。当惑するレミに1時間後にまた会う約束をして、ヴァレリーは仕事に向かう。その朝からカフェの近くのホテルでルーム・サービスの仕事を始めることになっていたのだ。ヴァレリーは冷たい感じのする同僚の女性サビーヌ(ヴェラ・ブリオル)から仕事を教わる。そして主任のパトリス(ジャン=クレティヤン・シベルタン=ブラン)に連れられ、女性社長サールシ(アラダン・レイベル)に会い、契約を結ぶ。それからヴァレリーはルーム・サービスの仕事に戻り、エレヴェーターでホールと客室の間の往復を繰り返す。フロントからの客室の確認の電話を処理したあと、その空の客室から母親に電話をする。それを意地悪な同僚の男性に見られる。それをネタに男は彼女にセクハラをするが、彼女は男の頬を平手打ちする。また疲れて休んでいるところをサビーヌに見られるが、初対面の時とうってかわって彼女は親密な態度を見せる。ヴァレリーが自分が妊娠していることを打ち明けるとサビーヌは堕胎することを勧める。彼女自身がヴァレリーの平手打ちしたあの男に捨てられた経験があるからだ。仕事の合間をぬってヴァレリーはレミに会いにカフェに行く。依然として2人の会話は噛み合わない。ヴァレリーは店を飛び出す。車に轢かれそうになったその間一髪のところでレミが彼女を抱きしめ、助けてくれる。2人の雰囲気が変わるかと思ったのも束の間、子供ができたにもかかわらず一向に仕事を探そうとしないレミにヴァレリーは苛立ち、彼と別れる。季節が変わり、肩まであった髪をばっさりと切ってショートにして身軽になったヴァレリーの傍らには母親と子供ファビアンがいる。彼女はシングル・マザーとして生きる覚悟をしたのだ。母親に子供を預け、仕事場に向かって颯爽と歩いて街中に姿を消す彼女であった。
Valerie
Remi
la mere
Sabine
Jean-Marc
Patrice
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