フォン・コン
Yip Man Chu
凶悪犯罪組織のリーダーの張り込みを公安局から命ぜられた造船所の二人の警備員を主人公に、サスペンスの設定を借りながら現代中国のごく普通の庶民たちの姿を描いた作品。監督は「王さんの憂鬱な秋」のファン・チェンシンとヤン・ヤーチョウの共同監督。出演は相声(中国の漫才)のスターであり、「青島アパートの夏」で百花賞助演男優賞を受賞したフォン・コン。その恋人役には「おはよう北京」のチャン・シャン。犯罪組織の首領役のニウ・チェンホアは「青島アパートの夏」以降ファン・チェンシン監督作に出演し、本作ではプロデューサーも兼ねている。本作は97年度のベルリン映画祭に正式出品された。
海辺の街で造船所の労働者一家が惨殺された。犯行グループと目される組織の首領(ニウ・チェンホア)は「博士」と呼ばれていた。公安局のベテラン刑事のヤン・カオ(チャン・シャオトン)は事件の鍵となる一軒屋を見渡せる古い塔を張り込みの拠点とし、造船所保安課のミンチュ(フォン・コン)とティェン課長(トァン・ルーチュン)をその任にあたらせた。食料を持ち込み寝ずの番をして、博士が現われるのをひたすら待ち続ける二人だったが、私生活にそれぞれ問題を抱えていた。ミンチュが外泊の理由を明かさないため恋人のパイ・リン(チャン・シャン)は昔の恋人とよりを戻してしまう。50代のティェン課長は末期癌に侵されていたが、仕事場で死にたいと言いはり張り込みをやめない。しかし7日目に公安局は博士の居所を突きとめ張り込み中止の指示を出したが、現場には伝わっていなかった。ミンチェはティェン課長を無理やり入院させ、一人で張り込みを続けた。やがて逮捕された博士の言葉からそれを知ったヤン・カオは驚いて塔に駆けつけ、23日間の張り込みで意識朦朧となったミンチェを発見する。事件は解決したが、ティェン課長は息をひきとり、憤りにかられたミンチュは防犯隊長を殴り拘置所に入れられる。出所後、ミンチュは事件の顛末をパイ・リンに語るのだった。
Yip Man Chu
パイ・リン
tin Gung Shun
ヤン・カオ
リン
チウ隊長
リウ
博士
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