ファブリス・ルキーニ
Lepetit
倒産寸前の百貨店の人間模様を描くコメディ。監督はこれが長編デビューとなるセドリック・クラピッシュで、 長編第3作「猫が行方不明」が96年に日本公開されている。製作はグザヴィエ・アンブラール。脚本はクラピッシュとテレビのパーソナリティとして人気の「つめたく冷えた月」(出演も)のベロワイエ(ジャッキー・ベロワイエ)。撮影(本編では照明というクレジットのみ)はドミニク・コラン。美術はフランソワ・ルノー・ラバルト。編集はフランシーヌ・サンドベルグ。録音はフランソワ・ウァレディッシュ。出演は「ボーマルシェ/フィガロの誕生」のファブリス・ルキーニ、「家族の気分」のジャン=ピエール・ダルッサン、「パリでかくれんぼ」のナタリー・リシャール、「猫が行方不明」のジヌディヌ・スアレムほか。
百貨店レ・グラン・ギャラリーは創業百年の老舗だが、気の抜けたデパートで、経営の方はさっぱり。そこで株主会議は新任社長にニュー・マネージメント理論の旗手ルプチ(ファブリス・ルキーニ)を起用、一年の期限付で経営再建を命ずる。あと一年で黒字にならなければ従業員一同が路頭に迷うことに、そこでルプチは大改革に着手する。まず千人からいる従業員たちに自覚を持たせ、同じ店に勤める仲間として団結させること。社員総会を開き、巨大なスクリーンを背に演説をぶつルプチ、そしてプレタポルテ売り場のヴェロニク(コラリー・ザルネロ)を壇上に呼んで、みんなに自己紹介させる。これからは店全体が家族だとアピールするためだ。また彼は従業員に意識改革のさまざまな研修を受けさせ、山のなかにバンジー・ジャンプにまで行かせる。総会の一件でヴェロニクはにわかに自分に自信をもち、熱心に販売にうちこんで成績を上げるが、売り場の仲間から嫌われることにもなる。それでもルプチの改革は店の各所で成果を上げ、グラン・ギャルリーに久々に活気が戻って来た。また従業員のクラブ活動も活発になり、とくに楽器売り場のドレミ(ジャン=ピエール・ダルッサン)の指導する合唱部は人気だ。アルバイト店員のロジェ(ピエール=オリヴィエ・モルナス)は何でも屋緊急要員として雇われ、ディスプレイ・デザイナーのクレール(ナタリー・リシャール)と仲良くなる。彼はまたルプチの方針をうさん臭く思っていて、創業百年の日には従業員全員が仮装して出勤するようにという偽の指示を出すいたずらまでやってしまう。ところがこのお陰で創業百年セールがますます活気づく始末。あまりの店内の騒々しさ、アナウンスやBGMのうるささに、彼はついに店内マイクで「静かにしろ」とやってしまう。1分間はみんな沈黙すること……ところが逆に、皆はこの沈黙の美しさに感激してしまうのだった。それでもルプチはロジェを解雇せざるをえない。クレールらが嘆願し、彼は再び雇われることに。だがこの嘆願のせいで彼女は彼との待ち合わせに遅れてしまった。ロジェの家を訪ねたクレールとロジェは恋仲に。そこで日曜に彼女は両親に紹介するといって連れて行くと、なんとルプチは彼女の継父だった。ロジェは彼を挑発して、あんたも自分で商品を売ってみればという。そこで本当にカバン売り場に立つルプチだが、なるほど販売はなかなか大変だった。 こうしてあと一カ月で一年。店に活気は戻ったが、経営はまだ黒字にはなっていない。ルプチの切り札はパリ・マラソンを利用したメディア戦略。ここで社員に店のTシャツを着せて走らせ、優勝すれば大宣伝になること間違い無し。ところがマラソンで優勝したのは店のTシャツを着た人間ではない……のだがその人物がやはりグランド・ギャルリーで清掃員をしているママドゥ(ビリー・コム)と分かり、ルプチの計画は成功した。ところが株主はやはり閉店を通告した。実は一年まえから日系のホテルへの売却が決まっており、ルプチの起用はただ損失を少しでも減らすために過ぎなかったのだ。店内合唱団の発表会、ドレミの作曲した「私」「私」と歌いながら全体がハーモニーになる合唱曲を聞きながら、ルプチはぼうぜんと立ちすくんでいた。
Lepetit
Domr?my
Roger
Claire
Lefevre
Pizzutti
Madame Dujardin
Jacques Martin
Micheline
Zaza
V?ronique
監督、脚本
脚本
製作
撮影、照明
編集
録音
字幕
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