メリル・ストリープ
Lee
白血病で余命いくばくもない女性をめぐり、長年絶縁状態だった妹とその家族の再会と新しい絆を描くヒューマン・ドラマ。舞台演出家スコット・マクファーソンの原作戯曲に惚れ込んだ「ヒート」「ザ・ファン」の俳優ロバート・デ・ニーロ(自身も脇役で出演)が、自身の製作会社トライベッカを中心に、「ザ・ファーム 法律事務所」のスコット・ルーディン、「ブロンクス物語 愛につつまれた街」のジェーン・ローゼンサルと共同で製作。監督は四度のトニー賞受賞歴を誇るブロードウェイの演出家ジェリー・ザックスで、彼の監督デビュー作。脚本はマクファーソン自身が執筆したが、撮影開始を待たず95年エイズで死去した。撮影はポーランド出身で、クシシュトフ・キェシロフスキ作品で名をあげた「身代金」のピョートル・ソボシンスキ、音楽は「ピノキオ」のレイチェル・ポートマン、美術はデイヴィッド・グロップマン、編集はジム・クラーク、衣裳は「12モンキーズ」のジェリー・ワイスがそれぞれ担当。出演は「マディソン郡の橋」「判決前夜 ビフォア・アンド・アフター」のメリル・ストリープ、「ゴッドファーザー」「花嫁のパパ2」のダイアン・キートン、「太陽と月に背いて」のレオナルド・ディカプリオ、「コクーン」「カミーラ あなたがいた夏」のヒューム・クローニン、「コクーン」のグウェン・ヴァードンほか。
母子家庭で手に職をつけるため、美容師をめざして美容学校に通うリー(メリル・ストリープ)のもとに、長男ハンク(レオナルド・ディカプリオ)が家に放火して家出したという知らせが入った。ハンクは生活に追われ子供を顧みる余裕のない母親と心を通い合わせることができず、鬱屈した日々を送っており、唯一愛情を感じることができるレーサーだったという父親の写真だけ残して家に火をつけたのだ。ハンクは精神病の施設に入所し、リーと次男チャーリー(ハル・スカーディノ)は修道院に身を寄せる。そこへフロリダに住む姉のベッシー(ダイアン・キートン)から20年ぶりに電話が。自分は白血病に冒されており、親族からの骨髄移植だけが唯一の希望だと言うのだ。リーは反抗的なハンクを施設から連れ出し、家族そろってフロリダへ。ベッシーは結婚もせず、父マーヴィン(ヒューム・クローニン)と叔母ルース(グウェン・ヴァードン)の面倒を見ていた。父は寝たきりで痴呆状態、そんな家族を見捨てて家出したリーとの間には複雑な感情がある。母を嫌い、反抗的だったハンクだが、ベッシーの誠実な優しさに次第に心を開いていく。最初は骨髄移植の検査を受けることを拒否していた彼は、主治医のウォリー医師(ロバート・デ・ニーロ)の検査で母と弟が不適合だと知り、自分も検査を受ける。リーはベッシーとハンクの信頼関係に嫉妬を感じ、姉妹はお互いの感情をぶつけあうが、やがて打ち解けた。ベッシーは自分の初恋を語り、リーは姉のかつらを洒落た髪形にカットした。一家はディズニー・ワールドへ。リーは感情に任せて、いつまでも母より父を慕うハンクに、彼の父親がハンクを虐待したことが離婚の理由だったと明かしてしまう。ところがベッシーが突然発作に襲われ吐血して倒れる。その晩、ハンクはベッシーに置き手紙を残して家出。母の自分ではなく、姉に宛てられた息子の手紙を見たリーは無力感に襲われながらも、姉に心配をかけまいと手紙を隠す。そこへハンクが帰ってきた。ウォリー医師から電話があり、残念ながらハンクも不適合と告げた。だが死の不安を越えて和解した家族は父の部屋に集まる。ベッシーはいつも父を喜ばせるためにやっているように、鏡に太陽を反射させて壁に光を舞わせる。その光の中で、家族は新しい絆を見つけようとしていた。
Lee
Hank
Bessie
Dr. Wally
Marvin
Gwen Verdon
Charlie
監督
脚本、原作
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣裳
字幕
[c]キネマ旬報社