レスリー・チャン
宋丹平
かつての舞台の名優が悲恋の末、怪人となって甦り、積年の宿願を遂げようとする姿を華麗に描いた時代物サスペンス。戦前の上海映画界の名匠馬徐維邦の『夜半歌聲』(37)のリメイクで、主演は「君さえいれば/金枝玉葉」のレスリー・チャン、監督は「白髪魔女伝」のロニー・ユーで、67年のユアン・チウファン監督版に次いで3度目の映画化。撮影のピーター・パウ、美術のエディ・マーは「白髪魔女伝」でもロニー・ユーと組んだ。衣裳はウォン・カーウァイ作品で知られるウィリアム・チョン。共演は「恋人たちの食卓」のウー・チェンリン(広東語ではン・シンリン)、「人生は琴の弦のように」のホアン・レイ、本作で脚本も担当したロイ・ゼットーほか。香港で製作されたが、全編北京語が使用され、公開時には北京語、広東語の2ヴァージョンで公開されたのは珍しい。
北京。36年。古びたオペラハウス。そこを設計したことでも知られるかつての名優ソン・タンピン(レスリー・チャン)を尊敬する、貧乏劇団の若い劇団員ウェイチン(ホアン・レイ)は、夜、謎の歌声を聞く。管理人のマー老人(張正元)は彼に尋ねられ、歌声の秘密を語る……。10年前。『ロミオとジュリエット』で国内で注目されたタンピンは、彼の熱狂的ファンである財閥・ドゥ家の娘・ユンエン(ウー・チェンリン)と愛しあっていた。だが、格式高いドゥ家は二人の交際は決して許さず、ユンエンを土地の実力者・ツァオ所長の息子シュン(ロイ・ゼットー)との婚約を決めた。ユンエンは婚約の宴会を抜け出して劇場へ。「満月のたびに君のため歌を歌おう」タンピンは約束する。だが、二人の逢瀬は続かない。ユンエンは軟禁され、ツァオ家の手先が劇場を襲撃、タンピンの顔に硫酸を投げつけ、劇場は火が放たれた。絶望したユンエンはツァオ家に嫁ぐが、処女ではなかったので離縁。ドゥ家は北京を去り、タンピンは死んだと言われ、ひとり残されたユンエンは狂い、以来、満月のたびに劇場に現れるのだ……老人はそう語った。一方、ウェイチンらの芝居は不入り。めげるウェイチンの前に黒装束の怪人が現れ、「ロミオとジュリエット」の脚本を渡す。「これを演れば当たる。私はソン・タンピンだが、会ったのは秘密だ」劇団は息を吹き返した。満月の夜。劇場に現れたユンエンの前で、ウィエチンは歌う。あの火事の時に負った傷のため、恋人を目の前にしながら近づくこともできず、煩悶するタンピン。一方、ウェイチンの恋人ランディエは、劇団の命令で、何とあのツァオ・シュンの相手をさせられていた。傍若無人のツァオは町でユンエンを見つけると、暴行を加えた。ウェイチンはそれを救うが、それがもとでツァオから狙われることに。深夜。ついにユンエンとの再会を遂げられたタンピンらをツァオが襲うが、タンピンは逆襲。行方不明になった息子を探してツァオの父がウェイチンを逮捕するため劇場に乗り込んでくる。その時、タンピンは姿を現し、観衆の前でツァオの息子をつるし上げ、ツァオ家の積年の大罪を告発。ツァオ父子は捕えられた。かくして、タンピンは長年の苦しみのために失明したユンエンと、彼女が亡くなるまで再び添い遂げたのだった。
宋丹平
ドゥ・ユンエン
Wei Qing
趙俊
趙處長
藍蝶
馬大叔
魯局長
小花
監督、脚本
脚本
脚本、製作、エグゼクティブプロデューサー
製作
エグゼクティブプロデューサー
撮影
音楽
美術
衣装デザイン
プロデューサー
字幕
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