ケン・イジュラン
Fausto Barbarico
両親を失った少年が落ち込むことなくファッションの世界でささやかな成功をおさめるまでを描いた一編。監督はジョセフ・ロージーらの下で助監督をした後コマーシャル・フィルムの世界で活躍していたレミ・デュシュマンで、本作が劇映画デビュー。製作はジョエル・フロンとダニエル・ドジョン。脚本はリシャール・モルジエーヴの小説『Fausto』をデュシュマンとモルジエーヴが共同で執筆。撮影はイヴ・ラファイユ。音楽はドニ・バルビエ。美術はジルベール・ドリュワール。劇中で主人公ファウストが作る奇抜な服のデザインはフランス革命200年祭式典やアルベールビル冬季五輪開会式でのデザインで注目されたフィリップ・ギヨテル。その他の衣裳デザインはトニー・スコット、エイドリアン・ライン、パトリス・ルコントらの監督したCFのスタイリストとして活躍するアニー・ペリエ。編集はマリリン・モンティユー。録音はミシェル・カラとティエリー・デロール。出演は主に舞台で活躍するケン・イジュラン、「インドシナ」のジャン・ヤンヌ、「ジャンヌ・ダルク」のフロランス・ダレル、ケン・イジュランの兄でミュージシャンのアルチュール・Hほか。93年カンヌ国際映画祭市民賞受賞。なお今回の日本公開版はアメリカ公開時(ミラマックス配給)と同じ長尺版。
1964年、フランス。交通事故で両親を失った17歳のファウスト(ケン・イジュラン)はパリの孤児院で生活することになった。ファウストは孤児院の斡旋でユダヤ人街にある仕立て屋に勤める。主人のミエテク(ジャン・ヤンヌ)はダンディでおしゃべり好きの気のいい親方。しかしファウストは町中の女性にラヴレターを書くほど多感な年ごろ。レイモンのアドバイスもあって、彼は女性向けのドレスのデザイナーを志す。寸法を計るために堂々と女の子の身体に触れるというのだ。18歳になり孤児院を出たファウストは恵まれた環境のなかで奇抜な素材を使った服を次々と作っていく。店の宣伝も兼ね芝生で作ったジャケットを着て町を歩いていたファウストは人気ミュージシャンのマックス(アルチュール・H)に気に入られた。さっそくコンサートでファウストの服を着たいというマックス。一目で好きになった自動車工場の娘トニ(フロランス・ダレル)との恋愛生活も幸せなものだった。ファウストはマックスのバンドのコンサートにコインや紙幣を素材に作った力作の服を着てトニ、レイモンと共に繰り出す。その斬新な服は一躍マスコミの注目の的となった。ファウストとトニのユダヤ教に則った結婚式が行われ、そこで初めてのファッションショーが開かれた。モデルはファウストゆかりの町の人たち。決して豪華なショーとはいえなかったが、彼の未来は希望に満ちあふれていた。
Fausto Barbarico
Mietek Breslaue
Tonie
Raymond
Lucien
Roger
Rivka
Director
Max the cat
Max's Girlfriend
監督、脚本
脚本、原作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
衣装デザイン
録音
録音
字幕
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