フォン・フェイフェイ
蕭幸慧
「憂鬱な楽園」など台湾の名匠ホウ・シャオシェンの監督第2作(脚本も)。デビュー作「ステキな彼女」のヒットを受けて製作された。主演のフォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、チェン・ヨウ、企画と撮影のチェン・クンホウ、編集のリャオ・チンソンは前作に続いての参加。共演は「童年往事 時の流れ」のメイ・ファンほか。デジタルリマスター版が、台湾巨匠傑作選2024にて2024年7月20日より劇場上映(配給:オリオフィルムズ)。
シンホイ(フォン・フェイフェイ)はCFフィルムのカメラマン。CFのロケのために訪れた澎湖島で、路上で物売りをしているチンタイ(ケニー・ビー)と知り合う。交通事故によって失明しているにもかかわらず前向きで素朴なチンタイに、シンホイは強く惹かれるが、彼女にはすでにプロデューサーの恋人、ルオ・ズ(チェン・ヨウ)がいた。彼は香港に住んでおり、彼女は彼を頼って香港に渡り、新たに仕事を始めようとしていたのだ。チンタイのことを思い切るつもりで台北に戻ったシンホイは、出国手続きと準備に忙しかった。ある日、彼女は街でばったりチンタイに出逢う。彼は角膜移植手術のために台北に来ていたのだ。再び親しくなっていくふたり。チンタイは、彼女に結婚してほしいと言い、彼女も曖昧ながら承諾の返事をする。やがてチンタイは手術のために入院。手術は成功し、視力を取り戻したチンタイは、シンホイを探し回る。彼女は出国を前に、小学校教師である弟の代理を務めるため、故郷へ帰っていたのだった。チンタイは田舎まで彼女を訪ね、自分の思いを切々と伝える。ふたりの男性の間で揺れるシンホイ。香港へと旅立つ前、彼女はチンタイに告げる。「あなたのために将来を諦めることはしたくない。空港まで見送りに来てほしい。あなたが来なければ私は飛行機には乗らない。けれど来てくれれば、私は香港に渡って夢を叶えることができるでしょう」。出発の日、搭乗間際のシンホイのもとへ、チンタイは駆けつける。シンホイは彼を選び、再会を堅く誓い、飛行機に乗り込むのだった。
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