ロバート・カーライル
George
ニカラグアを舞台に、内乱に引き裂かれる宿命の激しい愛を描いた大河ロマン。監督は「ケス」「大地と自由」のケン・ローチ。脚本はポール・ラヴァティ。製作のサリー・ヒビン、撮影のバリー・アクロイドは「リフ・ラフ」以来ローチとコンビを組む。音楽は「レディバードレディバード」「大地と自由」に続き、ローチ作品は3作目となるジョージ・フェントン。美術はマーティン・ジョンソン。編集はジョナサン・モリス。出演は「フル・モンティ」のロバート・カーライル、ニカラグア出身で主演は本作が初めてのオヤンカ・カベサス、「羊たちの沈黙」のスコット・グレンほか。
87年、グラスゴー。バスの運転手、ジョージ(ロバート・カーライル)は、無賃乗車を見逃してやったことから黒い髪のエキゾチックな女性カルラ(オリンカ・カベサス)と知り合うが、彼女は何も語ろうとしない。アパートを追い出されたカルラを友人の家の空き家に住まわせることにすると、カルラはようやく心を開き、ニカラグアと故国の名を教える。ジョージは乗客を降ろしたバスで、カルラと共に眼下に湖を臨む美しい山へ行った。心やすらぐひとときに、ふたりは唇を重ねる。しかし突然の土砂降りで道がぬかるみ、バスは立ち往生。ジョージはこの一件で解雇されてしまう。さらに彼は将来を約束していた恋人にカルラのことを打ち明け、結婚できないと告げる。ところがジョージは自殺未遂で血だらけになっているカルラを発見する。病院で生死の境をさまようカルラ。彼女は6週間前にも自殺未遂をし、同じ病院に運ばれていた。その時のカルテで、彼女が祖国への支援を募るためヨーロッパ巡業に来たニカラグア舞踏団の一員だったことを知る。退院の日、ふたりは初めての夜を迎えた。カルラの背中のひどい傷にうろたえるジョージに、カルラは恋人だった同士アントニオのことを語る。彼は戦闘で重傷を負ったのだ。バスでジョージと山へ行った夜、勇気を出して彼からの手紙を初めて読んでみた。そこには彼と一緒につくり、カルラがひとりで歌った歌が綴られていた。ジョージはアントニオの悪夢からカルラを解放するため、共にニカラグアへ向かった。ニカラグアでは革命政府を倒そうとする右派ゲリラ組織コントラが、アメリカから非合法の援助を受けて激しい武装攻撃を続けていた。カルラは平和維持のボランティアをしているアメリカ人のブラッドリー(スコット・グレン)を訪ねるが、誰も彼のことを語りたがらない。2度目の訪問で、ブラッドリーはようやくアントニオが自分のキャンプにいると打ち明ける。危険な地域を通って、ブラッドリーのジープはカルラの家族の住む村に着いた。その夜、歓迎の歌に合わせて踊るカルラの生き生きとした姿があった。だがふたりは突然の銃声で目覚める。コントラの襲撃に村全体が炎に包まれた。ジョージはイギリスに帰ることを決めた。翌朝、カルラはアントニオとの間にできた子を抱いていた。ジョージは子供とともに、彼女にも来て欲しいと頼む。それを知ったブラッドリーは、ジョージにアントニオのことを語り始める。コントラはアントニオを捕らえると舌を切り、脊髄を砕き、顔に酸をかけた、だがそのコントラを調練し、武器を与えてこの国に送り込んだのは、かつて自分が属していたアメリカのCIAだったのだと。カルラはアントニオに会って死ぬつもりですでに出発していた。ジョージはブラッドリーと共に彼女の後を追う。コントラの襲撃をくぐり抜け、ふたりはキャンプに到着した。「私を連れて帰って」と頼むカルラを、ジョージはアントニオの家へひとりで行かせる。ここが彼女の国なのだ。アントニオはカルラの手を取り、ギターであの曲を弾き始めた。ふたりで作ったその歌を彼女が歌う。翌日、ジョージは村を去った。カルラの歌を心に響かせながら。
George
Carla
Bradley
Rafael
Maureen
Antonio
Sammy
Eileen
監督
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
衣装デザイン
字幕
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