ギョーム・ドパルデュー
Pierre
姉と名乗る女性の出現を機に、真実の人生を求めて彷徨をはじめる青年の姿を描いたドラマ。監督は「ポンヌフの恋人」のレオス・カラックスで、前作から8年をへて、文豪ハーマン・メルヴィルの『ピエール』(邦訳・『メルヴィル全集 第9巻』所収、国書刊行会)をベースに、本作を独自の映像で撮り上げた。タイトルは原作の題名の仏語訳“Pierre ou les ambiguites”の頭文字、“Pola”に解かれぬ謎を示すXを加えたもの。脚本はカラックス、ジャン=ポール・ファルゴー、ローラン・セドフスキー。製作はブリュノ・ペズリーで、共同プロデューサーはカール・バウムガートナー、掘越謙三、ルート・ヴァルトブルガー。撮影は「愛する者よ列車に乗れ」のエリック・ゴーディエ。音楽は劇中のテーマ曲を元ウォーカー・ブラザースのスコット・ウォーカーが担当し、挿入曲でパーセル、ブラームスの楽曲が流れる。美術はローラン・アレール。編集はネリー・ケティエ。衣裳はエステル・ヴァルツ。出演は「めぐり逢ったが運のつき」のギヨーム・ドパルデュー、「パリ、18区、夜。」のカテリーナ・ゴルベワ、「ヴァンドーム広場」のカトリーヌ・ドヌーヴ、「音のない世界で」のデルフィーヌ・シェイヨーほか。
ノルマンディ。アラジンという変名で新人小説家として作品を発表したばかりの青年ピエール(ギヨーム・ドパルデュー)は、外交官だった父の亡き後、「姉、弟」と呼び合う仲の美しい母マリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)と城館で何不自由なく暮らしていた。そんな彼の前に突然、異母姉と名乗る女性イザベル(カテリーナ・ベルゴワ)が現れる。彼女の出現で、以前から渇望していた、“この世を越える”きっかけを得たと感じたピエールは母も婚約者リュシー(デルフィーヌ・シェイヨー)も捨て、彼女にいざなわれるようにパリヘ出る。従兄のティボー(ローラン・リュカ)をたずねたピエールだが、すげなく追い立てられ、やがてふたりは音楽活動と武装訓練に余念がないアンダーグラウンド集団が巣くう廃墟の倉庫にすみかを定める。ふたりはほどなくそこで結ばれた。創作活動に打ち込み始めたピエールだが、やがて家人が母の事故死とリュシーが病気であることを伝えにくる。リュシーは看病をしてくれていたティボーの制止を振り切って、婚約者であることは秘されたまま、ピエールとイザベルの元に身を寄せる。そんななか生活は窮追、ピエールはアラジンとしてテレビ出演も試みるが、混乱を招いただけで終わる。イザベルはピエールの幸せを自分が邪魔していると感じてセーヌ河に飛び込み、彼に救われたが入院。ティボーは彼女を訪ねてリュシーがピエールの婚約者であることを告げる。イザベルからそれを聞き、さらなる混迷に陥るピエール……。ティボーから呼び出しを受けたピエールは彼の口に銃口を突っ込み、彼を殺した。駆けつけたイザベルとリュシーの前で警察に連行されるピエール。突然、イザベルが「私の弟!」と叫んで身を投げる。彼女の体が車体に当たる音だけを呆然と聞きながら、ピエールは連行されていくのだった。
Pierre
Isabelle
Marie
Lucie
Petrutsa
The Little Girl
Thibault
Marguerite
監督、脚本
脚本
脚本
原作
製作
共同製作
共同製作
共同製作
撮影
音楽
美術
編集
衣装デザイン
字幕
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