ラモン・ノヴァロ
Ernesto
「囁きの小径」「良人の危険時代」「人妻の危険時代」と同じくジョン・M・スタール氏の監督作品である。チャールズ・フレデリック・ナードリンジャー氏作の舞台劇の映画化で、ダグラス・ファーバー氏とシルヴィア・サルバーグ氏とが撮影台本を執筆した。主役は「ベン・ハー(1926)」のラモン・ノヴァロ氏と「魔術師」のアリス・テリー嬢との2人で、それを助けて「楽園に帰る(1928)」のエドワード・マーティンデル氏、故エドワード・コネリー氏、「俺は新兵」のジョージ・K・アーサー氏、ホームズ・ハーバート氏、ジョン・ミルジャン氏、ロイ・ダルシー氏、等が出演するものである。
老いたる外交官ドン・ジュリアンの妻テオドラは若く美しかった。書記官のエルネストは眉目清秀な青年である。彼は孤独で貧しくあったが幸にジュリアンの信頼厚く、何かとその世話になっていた。ジュリアンの弟セヴェロ夫妻及息のバピトはオテドラとエルネストとの交情が取返しのつかぬことになるのを恐れ、又とかく世間の噂もあることとて、ジュリアンにしばしば忠告した。ジュリアンは2人を確かに信用はしていたのである。が、かく忠告を受け、それとなく2人の行動を注目して見ると彼にも悩みが湧いて来た。エルネストは身の潔白を示し、噂を消すためにジュリアン夫妻から離れんとしたがジュリアンがそれに反対した。しかし遂に事情は許さず彼は家を出、南米に行くこととなった。が、その時、一方ジュリアンも旅行することとなったのである。エルネストはその後アルヴァレスという剣客と争い、深屋ホテルの屋上で決闘することになった。これを聞き知ったテオドラはセヴェロ夫人の止むるをも聴かずエルネストを訪れて決闘の中止を願った。が、汽車に乗り遅れたジュリアンは買い求めた新聞によりエルネストの決闘のことを知り、しかもそれが妻の名誉に関することとあっては、エルネストに代って自ら決闘せんとし、ホテルへと馳せ付ける。彼はエルネストに先んじて決闘したが身に深傷を被って倒れた。応急の手当にと運び入れられたのがエルネストの部屋である。と、ジュリアンはその部屋に妻のテオドラを見出した。かくなってはジュリアンの疑惑も無理からぬ次第である。彼は2人を責めた。2人はなお潔白を主張したが、それを言い解き得ない前に、深傷のジュリアンは息をひきとった。エルネストはアルヴァレスと決闘して彼を倒した。その後、噂はますます喧しかったが、独り淋しくテオドラが海路アメリカに赴くと知ったエルネストは、その跡を追い、永久に彼女の保護を誓うのであった。
Ernesto
Teodora
Don_Julian
Don_Severo
Pepito
Dona_Mercedes
Milton
Alvarez
Senor_Glados
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