クリント・イーストウッド
The Stranger
謎の無宿者が西部の町を訪れたことから怒るパニックを描く。製作はロバード・デリー、監督は「恐怖のメロディ」に続きこれが監督第2作目のクリント・イーストウッド、脚本は「フレンチ・コネクション」でアカデミー脚本賞を受賞したアーネスト・タイディマン、撮影はブルース・サーティーズ、音楽はディー・バートン、編集はフェリス・ウェブスター、が各々担当。出演はクリント・イーストウッド、ヴァーナ・ブルーム、マリアンナ・ヒル、ミッチェル・ライアン、ジャック・ギンク、ステファン・ギーラッシュ、テッド・ハートレイ、ビリー・カーティス、ジョフリー・ルイス、ウォルター・バーンズ、アンソニー・ジェイムズ、ダン・デイビス、ウィリアム・オコンネルなど。
高原の町ラーゴに、1人の無宿者(クリント・イーストウッド)がやってきた。男は馬を納屋にあずけると酒場に入り、飲み始めた。そこに、ビル、トミー、フレッドの3人が入ってきて男にからんだが、男はそれを無視した。男は次に床屋へ行った。そこへもさっきの3人組がやってきて嫌がらせを始めたが、突然、白衣の下から男の拳銃が陽を吹いた。3人は床に倒れた。一瞬の出来事だった。その場に居合わせた小びとのモーデカイ(B・カーティス)は声もなくただ見つめるだけだった。床屋から出た男は、向こうからやってくるカリー・トラバース(マリアント・ヒル)を納屋に連れ込むと、強引に犯してしまった。翌朝、男はホテルの主人ルイス(テッド・ハートレイ)にしばらく滞在するむね告げた。ルイスの妻サラ(ベルト・ブルーム)は、この男をどこかで見たような気がしてならなかった。その頃、ステイシー・ブリッジス(ジョフリー・ルイス)、コール(アンソニー・ジェイムス)、ダン(ダン・デイビス)という兄弟が刑務所から放免になって、この町に向かっていた。3人はかつてラーゴ鉱山会社で用心棒をしていたことがあったが、金塊を持ち出し、さらに逮捕しようとした連邦保安官をムチで叩き殺したのだ。ラーゴではこのニュースをいちはやく受け取っていた。そして、町を復讐から守るために、例の正体不明の無宿者を雇うことになった。町を挙げての防戦体制がしかれ、男とモーデカイに絶大な権限があたえられた。だが、この男の行動が理解できない鉱山会社のドレイクやモーガン(ジャック・ギング)は男を用心棒として雇ったことを後悔し始めた。一方そんなことにはおかまいなく、男はホテルの客を残らず他の場所に移し、カリーをホテル暮らしを始めた。ある夜、2人の部屋へモーガンと数人の男たちが侵入し、手にしたコン棒を寝ている男の上にあびせた。だが男は窓の外のベランダからダイナマイトを投げつけ部屋もろとも吹っとばしてしまった。翌日、男はモーデカイに指揮を命じて、どこかへ去っていった。町の連中は、彼がいなくてどうやって町を守るのかと恐怖におののき、騒ぎ始めた。そんなところにステイシー兄弟がやってきたからたまらない。混乱している町を乗っ取るのは、3人にとっていとも簡単なことだった。人々を酒場に集め、3人は勝手放題にいやがらせを始めた。コールが馬を見ようと酒場の扉を押すと、突然ムチの音がして彼の姿が見えなくなった。コールのうめき声で、ステシシーとダンが通りに出ると、コールがムチで打たれて死んでいた。さらにダンの首にからみついたムチが生きもののように彼の首をしめつける。彼は地面にくずれ、そのまま死んだ。ステイシーは素早く建物の影に隠れた。だが男はどこまでも追ってくる。“お前は誰だ。何者なんだ?”その言葉がステイシーの最後だった。町をのぞむ丘の上の墓地。名無しだった、ムチで殺された連邦保安官の墓に“ジム・ダンカンここに眠る”と、モーデカイが刻んだ。男が町を去ってゆく。「あんたの名前を聞いてなかったね」とモーデカイがいうと、男は墓石をじっと見つめていった。「知っているはずさ」。
The Stranger
Sarah
Callie
Dave
Morgan
Mayor_Jason_Hobert
Lewis
Mordecai
Bridges
[c]キネマ旬報社