カリ・ヴァーナネン
エリック
エロスをテーマにした世界のさまざまな国を代表する監督たちによる短篇オムニバス「アート・オブ・エロス」の一編。監督・脚本は「GO! GO! L.A.」のミカ・カウリスマキ。総製作はハル・ハートリー短篇「KIMONO(原題)」のドイツの女流プロデューサー、レジーナ・ツィグラー。出演は「レニングラード・カウボーイズ」シリーズや「浮き雲」でカウリスマキ兄弟映画常連のカリ・バーナネンほか。
ブラジル、コパカーナ。世界的に著名な音楽指揮者エリック(カリ・バーナネン)は、リゾートホテルでひとり休暇を楽しんでいた。ビーチでくつろいでいると、豊満な体に褐色の肌、豊かな黒髪の美女が現れる。彼女は地元のサンバ・ダンサーで、わけあって街のならず者たちに追われていた。彼女の魅力に惑わされたエリックは、彼女の逃亡に巻き込まれ、夜の街を疾走する。艶やかなドラッグクイーンが踊るクラブ、サンバ・カーニバルの広場などを走り抜け、ふたりは海辺に行き着く。夜の浜辺で彼女と官能的に結ばれるエリックだが、彼女の追っ手がすぐそばまで迫ってきていた。彼女を守るため、エリックはナイフを持った男と格闘する。次の瞬間、エリックはビーチで目を覚まし、我にかえる。ぼんやりとした頭を抱えてホテルのエレベーターに乗り込むと、そこに入ってきたのはなんとあの女性と、追っ手だった男のカップルだった。良く見ると、彼女は女装した男であった。現実に引き戻されたエリックは、手持ち無沙汰のままエレベーターに描かれた画の女性に寄り添い、自らの気を紛らわせるのだった。
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