最後の一人 潜航艇哀話
最後の一人 潜航艇哀話
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最後の一人 潜航艇哀話

1930年公開
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「最敬礼」「黒時計連隊」と同じくジョン・フォード氏の作品で同氏およびジェームズ・ケヴィン・マッギネス氏が共同でストーリーを組立てダドリー・ニコルズ氏が脚色及び台詞をつけ「娘青春裏表」「名物三羽烏」のジョセフ・オーガスト氏が撮影した。主演者は「俄か海賊」に出演したことのある舞台俳優のケネス・マッケンナ氏で「踊るカレッジ」「最敬礼」のフランク・アルバートソン氏、「ハバナから来た女」「紐育万華鏡」のポール・ペイジ氏、「ロマンスの河」「女秘聞」のウォルター・マッグレイル氏、ウォーレン・ハイマー氏、J・ファーレル・マクドナルド氏、スチュアート・アーウィン氏その他が共演している。

ストーリー

米国海軍の潜航艇エス13号の水雷発射係長バークは不思議なほど口を利かぬ男であった。そのため何か秘密をもっているのではないかとよく人から思われていた。エス13号が長い航海を終え上海に碇泊した時、乗組員は上陸して或る酒場で打ち興じた。この時また船に出動の命令が下りバークはそれを一行に知らせるためにその酒場へやって来た。バークを見たイギリス海軍の一士官は驚きの眼を見張った。それはその昔イギリスの駆逐艦がロシアへ行く途中で沈没した時、その船と運命を共にしたイギリス陸軍の将校に瓜二つだからであった。エス13号が上海の港を出て行った折は濃霧が海上一面に立ち込めていた。船には一行の他に若い海軍少尉のプライスが新たに加わっていた。シナ海の中央にさしかかった頃エス13号は一汽船と衝突するの惨事を引き起こすに至った。見張り台に出ていた艇長と哨兵数名は海中に落ち、機関室の艇員はことごとく溺死した。残されたのはバーク、プライス及び14人の乗組員であった。海底に沈んでしまったエス13号には逃れ得べき個所がない。一同は電信器をたった1つの頼みの綱として救助を外に求めた。船には一刻一刻と海水が侵入し空気は濁りを増していった。人間本来の姿が顔を出してきて乗組員たちの頭には過去のさまざまな経験が蘇りはじめた。楽しかった恋の思い出に悲しむ者もあった。ポロックと言える一員などは狂人に近い状態となって射殺されてしまった。遂に救助信号の効果があった。救いの船が到着して沈没したエス13号に潜水夫が降りて来た。そして破損している水雷発射管を修繕することに成功した。かくて乗組員は1人ずつそこから海面に浮び上った。だがその水雷発射管を操作するためには最後に1人残らねばならなかった。その残った人間は当然死を覚悟するより他に道はなかった。新任の少尉プライスはすすんでこの地位につこうと言った。だがバークはそれを斥けてプライスを安全な地に送り出し、己自身その犠牲者となったエス13号と共に壮烈な最後を遂げたバークは実はかつてのイギリス陸軍士官であった。そして彼はある女性の名誉にかかわる秘密を抱いてこの世を去ったのであった。

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作品データ

原題
Men Without Women
製作年
1930年
製作国
アメリカ
配給
フォックス支社輸入
初公開日
1930年
製作会社
フォックス映画


[c]キネマ旬報社