うじきつよし
男
明治の文豪・夏目漱石が1908年に発表した短編小説『夢十夜』を、10人の映画監督が映像化したオムニバス作品の第二夜。悟りを得ようとする侍の懊悩を描く。監督は「犬神家の一族」の市川崑。出演は「かあちゃん」のうじきつよし、「すずらん 少女萌の物語」の中村梅之助。
男(うじきつよし)がうす暗い部屋に入って座ると、いつの間にか和尚(中村梅之助)がいる。そして男は、自分が侍だったことに気付く。「侍なら悟れぬはずはない」という和尚に挑発され、懸命に悟りを得ようとする侍。しかし一向に悟りはやってこない。それでも侍は、時計が次の刻を打つ前に悟りを得て、和尚の首をとろう、それができなければ死のう、と決意する。そんな侍を嘲笑うかのような和尚に、侍はしだいに殺気を募らせていく。